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2021.07.27FOCUS

【実態調査】UIターンのリアル。都市部から地方に移住した人の“本音”を聞いてみました

20代の働き方研究所 研究員 S.M.

UIターン転職(就職)とは?

UIターンとは、転職(就職)を機に、都市部から地方へ移住することです。地方出身者が地元に戻ることを「Uターン」、都市部で生まれ育った人が地方へ移住することを「Iターン」と言います。

働く場所は“自由”でいい。コロナ禍での働き方の変化が、UIターン転職ニーズを顕在化させた

20代社会人向けに実施した調査では、「UIターンや地方での転職を希望する人」は41.7%に上り、昨年より5.6ポイント増加。コロナ禍で、UIターン転職のニーズは徐々に高まっているようです。
(参考 コロナ禍で増える「UIターン」希望者。その理由は?

UIターンが注目される背景には、生活や働き方の変化があります。コロナ禍で都道府県間をまたぐ移動が制限されたり、オンラインでできることが増える中、「地元に戻りたい」「密を避けたい」という理由で地方への移住を希望する人は大きく増加しました。また、テレワークが普及し、働く場所を制限しない企業が増えたことや、そもそも企業が事業所を地方へ移転するケースもあります。

「テレワークでも仕事を進めることができた」「オンラインでも、人と交流できることが分かった」など、働く場所や住む場所は都心にこだわる必要がない、柔軟に選択できるものだと実体験できたことで、地方へのUIターン転職(就職)も検討しやすくなったと言えそうです。

【実態調査!】地方で働くって、実際どうなの?UIターン経験者に“リアル”を聞いてみた

ニーズが高まっているUIターン。一般的にUIターンのメリットとして挙げられるのは、「通勤ラッシュがない」「ゆとりある暮らしができる」「新しい交友関係を築ける」などです。一方、「求人が少ない」「年収ダウンは避けられない」「地方ならではの慣習に馴染めないと苦労する」などがデメリットと言われています。
実際のところ、UIターンで地方に移住した20代はどう感じているのでしょうか?
20代の働き方研究所ではその実態を調査すべく、実際に都市部から地方にIターンをした方にインタビューしてみました。

■【CASE.1】T.Kさん(大阪出身⇒福岡本社の企業に就職)
福岡の鉄道会社に新卒で入社し、現在研修中。大学ではまちづくりを専攻していたため、地方の都市開発に携わりたいと思い、入社を決める。来年以降は、本社または九州各県の支店に配属される予定。

●地元愛が強い
100人以上いる同期の9割以上は九州出身。T.Kさんは地元愛の強さを感じたと言います。横のつながりを大事にする風土のため、同期と仲良くなると、同期の友だちとも繋がれるなど、新しい人間関係を築けていっているようです。

「仲良くなった同期が友だちを紹介してくれるなど、人間関係を築けている」
「当たり前だけど、自分から積極的にコミュニケーションをとることが大事」


●住みやすい環境
福岡は小学校の数が多く、子育てもしやすいエリアのようです。また、旅行やカメラが趣味のT.K.さんにとって、福岡は開拓しがいがあったそうです。プライベートを含めた将来のことを考えると、このまま福岡で生活をしたいという思いになっていると話してくれました。

「小学校の数が多く、子育てしやすい環境だということを、住んでみて知った」
「仕事以外の時間も充実している」


【T.Kさんからメッセージ】
これまで住んだことがない土地に就職するのは、不安も大きいと思います。自分の決断に自信を持つためにも、立場の近い人と交流し、色んな人の話を聞くことが大切です。
私の勤める企業は、地元が離れている人は連休を取得しやすいように考慮してくれます。有給が何日あるかよりも、取得しやすい雰囲気があるかも大切だと思います。地元に帰省できるかなど、自分自身が重視するポイントは、しっかり確認してみてください。


■【CASE.2】 T.Yさん(横浜出身⇒宮崎県の町に移住)
大学卒業後は教育への興味から、教育系NPOのインターンや塾講師の仕事に携わる。地方で、地域に根差した環境で教育に関わる仕事をすることへの興味から、地域おこし協力隊として宮崎県に移住。

●嬉しいギャップ・新しい人を受けいれる風土がある
移住先で人間関係に溶け込めないイメージがある方も多いかもしれませんが、T.Yさんは、「新しい人を受け入れる風土があることに驚いた」と言います。UIターンを検討する際は、まずは実際に足を運んで確かめてみると良いかもしれません。

「自衛隊の駐屯地があるので、転勤族が多く、町全体で新しい人を受け入れる風土がある」
「その土地に馴染めるかが1番不安だったので、嬉しいギャップだった」


●車が無いとつらい
土地にもよりますが、公共交通網は都市部ほど整備されてはいません。UIターンを検討する際は、交通手段も確認するとよいでしょう。

「まず、車がないと生活できない。車と免許は必須」
「街灯が多くないので、夜は運転しにくい。自然と21時ごろには町全体が静かになる」


●ライフスタイルの変化
UIターンによりライフスタイルが変わるケースも多いようです。地方の方がゆったりとしたペースで生活できるのかもしれません。横浜に住んでいたときは夜型だったT.Yさんも、朝型になったと言います。

「夜遅くまでやっている飲食店も少ないので、17時ごろに仕事を終えた後は、まっすぐ帰宅して食事し、夜は自宅でゆっくり過ごす」

【T.Yさんからメッセージ】
移住やUIターンについて、オンラインで情報収集ができる機会が増えていますが、ぜひ一度はその町に実際に行ってみてほしいと思います。コンビニやスーパーで買い物をしてみる、町を実際に歩いてみるだけでも、その町の雰囲気を感じ取れるはずです。
コロナ禍では難しいかもしれないですが、イベントやお祭りなど、人が集まる場所に参加し、町の人と交流する機会があると、よりリアルにその土地での暮らしをイメージできると思います。

UIターンを検討するときには・・・

一般的に地方は求人数が少なく、企業探しに苦労すると言われています。数こそ多くはありませんが、「やりたいこと」「移住の目的」を具体的に考えていくことで、「希望する仕事」「希望する暮らし」を実現できる可能性は高くなります。
またIターンの場合、はじめて暮らす地域の文化に馴染めるまでは大変と言われています。実際に雰囲気に馴染むことができるか、一度そのエリアに出向いて地域の住民の人柄や雰囲気を肌で感じてみることが、ミスマッチを防ぐことにつながるかもしれません。

また、地方創生の取り組みとして、自治体がUIターン希望者に支援策を用意するケースも増えています。具体的な支援内容としては、「移住支援金の支給」「住宅取得の補助」「家賃の補助」「就業支援」「創業支援」など多岐にわたります。さらに、移住前の検討段階で、視察のための交通費を支給する自治体や、短期の移住体験を用意する自治体もあります。UIターンを検討する際は、活用できる制度を調べてみるのもおススメです。

この記事を書いた人

20代の働き方研究所 研究員 S.M.

1988年12月生まれ。
大学在学時から教育に興味があり、職種別採用で就職情報会社の大学営業職として入職。以降、キャリアアドバイザーとして多くの学生のキャリア教育・就職支援に携わる。社会人のキャリア形成やリカレント教育への興味から、20代の働き方研究所に参画。自身の研究の傍ら、20代の研究員への助言・サポートをしている。休日の過ごし方はカフェ巡り。
#キャリア教育 #職場環境 #愛・ボードゲーム

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