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2021.07.27FOCUS

【渦中の人に聞く】温泉は「"副"業」と断言する、温泉オタク会社員永井さんに聞いた。本業と副業を両立する秘訣

20代の働き方研究所 研究員 E.S.


温泉オタク会社員 永井千晴さん

「副業」の関心の高まりを受け、「好きなことを仕事にしたい」「興味のある仕事にチャレンジしてみたい」と考える20代も増えています。一方で、「本業と両立できるのか」「そもそも、どうやって始めるべきなのか」といった疑問もつきもの。温泉オタク会社員として著書も上梓されている永井さんに、本業と副業を両立する極意、好きを仕事にする秘訣を伺いました。

選択のべースは「キャリアの幅」を広げる

―温泉オタク会社員として活躍されていますが、まずは永井さんの本業と副業のお仕事内容を教えていただけますでしょうか。

本業は、会社員です。コンテンツ制作会社のビジネスプロデューサーとして、アニメや映画、ゲームなどエンターテイメントの仕事をしています。一度転職していて、前職はYahoo!ニュースの編集者をしていました。
副業では、温泉オタクとして、おススメの温泉を発信しています。具体的な活動内容としては、記事の執筆や旅行プランの監修が中心です。

―永井さんは学生時代から、「旅行雑誌」で編集のアルバイトをされるなど、温泉を仕事にされてきたようですが、就職において、「好きなこと(温泉)」を仕事にしなかったのには、どのような理由があるのでしょうか?

自分のキャリアを一本道にしたくないと思ったことが理由です。温泉だけが得意な、温泉だけのプロフェッショナルになってしまうと、どうしてもキャリアの幅が狭くなってしまいますし、飽きたときが怖いなと思っていました。温泉以外にも好きなものはたくさんありますし、「違う道」「違う草鞋(わらじ)」を持っておきたいと思ったことが、温泉を本業にしなかった理由です。

転職も、「違う草鞋(わらじ)」を持ちたいという理由でしています。前職のYahoo!ニュースを編集する仕事は面白かったのですが、将来を考えたときに、ニュース編集の同業他社への転職かメディアの中に入るかの選択肢しか思いつかず、キャリアの幅が狭くなってしまうのではないかという感覚がありました。

エンタメやドラマ、映画が好きなので、コンテンツ制作に関わる仕事をしたいと思い、現在の会社に入社を決めました。経験者採用が中心の業界に未経験で飛び込みましたが、裁量を持って仕事ができています。

 

副業は「得意なこと」に限定。「楽しくできる」を基準に活動

―記事の執筆など、副業でも幅広く活躍されていますが、どのようなきっかけで、温泉を副業として始めたのですか?

最初は知人や友人からの紹介でした。学生時代に旅行雑誌の編集のアルバイトをしていたので、その知り合いや、Yahoo!ニュースの編集の仕事を通して知り合った編集者の友人に「書いてみる?」と言われたことがきっかけで、副業として「好きな温泉」や「温泉の楽しみ方」を発信する仕事を始めました。

他にも、SNSでお仕事の依頼をいただくこともあります。温泉大賞の審査員をさせていただいたこともあるのですが、このお仕事はTwitter経由でいただきました。SNSで「仕事を募集しています」「連絡先はこちらです」と明言するだけでも、相手は「副業をやっているんだ」と分かるので、仕事を依頼しやすくなるものです。「こんなことができます」「こんなことが好きです」と発信することでも、副業として「好きなこと」を仕事にするきっかけは作れると思います。

SNSで「お仕事募集」と明言する他には、「スキル」と「得意なこと」を言語化することが、好きなことを副業にする一歩になると思います。会社員として働いて、土日や営業時間外に副業に取り組むことになるので、「得意でないこと」をやるのは正直しんどいです。まずは「何が得意なのか」、スキルを言語化し、「得意」と言えるくらいスキルを磨くことが大切だと考えています。

私は、副業は自分の首を絞めてまでやるものではないと思っているので、得意なことしかやりません。文章を書くことが得意なので、執筆のお仕事を中心にお受けしています。逆に、動画編集やスピーチは、ライティングと比べると得意ではないので、積極的にはやっていないです。あくまで「楽しくできるもの」という基準を大切にしています。

―「得意なこと」を活かして副業に取り組むと、本業の経験が副業に活きたり、逆に副業の経験が本業に活きたりということがあると思います。本業と副業でシナジーを発揮できるなと感じる場面などはありますか?

コミュニケーションの面ではとてもあります!上司が温泉に行くときに、「いい宿知らない?」と相談されたり、会話のきっかけになりやすいです。温泉は全国各地にあるので、「どこ出身?」「あそこの温泉好きだよ!」と、ご当地温泉トークで盛り上がることもあります。「副業」をしている、していないに関わらず、「好きなもの」や「めちゃくちゃ詳しいもの」があると、自分の「ラベル」を持つことができるなと思っています。私なら温泉ですが、この分野ならこの人と頼られるようになると、人間関係を築くのにプラスになるなと感じています。

逆に、仕事(業務)の面では、あまり本業と副業のシナジーを感じることはありません。むしろ、本業と副業は極力交わらないように、できるだけ離しておきたいと思っています。本業と副業の境目がなくなると、「キャリアの幅」は狭くなってしまうので、あえて近づけないようにしていますね。

副業は、「全員からの100点」よりも「一部の人からの120点」を目指す。

―お話を伺っていると、永井さんは「本業」と「副業」のバランスを上手にとっていらっしゃるように感じます。両立するために、意識していることはありますか?

無理をしないこと、ですかね。副業で会社員の仕事に影響が出ると本末転倒です。土日や平日の仕事終わりの時間を使って副業の仕事に取り組むことになるので、仕事を増やしすぎないことを大切にしていますし、極力無理のないスケジュールを組むように意識していますね。無理してたくさんの仕事を受けて、それぞれで100点のパフォーマンスを出せないよりも、受ける仕事量を調整して、受けた仕事で120点を目指したほうが良いと思います。

副業は土日や営業時間外に取り組むものなので、緊急性の高い仕事はできません。だからこそ、本業に影響のない範囲で取り組むことが重要ですし、「会社員の給与に不満があるから副業で稼ぐ」「本業では得られないものを、副業で補う」という考え方は、不健全というか…もったいないなと思います。

本業をしっかり頑張って、副業は趣味の延長で、無理なく楽しく取り組むというスタンスは今後も大切にしていきたいですね。

 

原動力は、「好きなこと」「好きなもの」を1人でも多くの人に知ってほしい

―もし「温泉」以外で副業をするなら、どんなことをしたいですか?

温泉以外だったら、ゲーム実況か、ドラマレビューの仕事などをやってみたいです。エンタメが好きなので、好きなものの良さを、1人でも多くの人に知ってほしいと思っています。

これは温泉も同じで、ぜひ私の「好きな温泉」を1人でも多くの人に知ってほしいです。温泉は、「いいな~」と思われるだけでは、1円も利益にならないビジネスです。実際に温泉に足を運んで、宿泊してもらって初めて売上につながります。「自分が好きなもの」を知ってもらって、多くの人に利用してもらい、1日でも長く営業して欲しいという思いが原動力になっています。

(副業をしているので、厳密にいうと仕事かもしれないですが…)仕事ではないからこそ発信できる情報を、これからも大切にしていきたいです。一般のお客さんとして、自分でお金を払って体験して、そのリアルな感想を発信していきたいと思っています。だからこそ、温泉はあくまで趣味ですし、自分のお金を払って、自分の好きなように体験し、1人のお客さんとして「良いな」「好きだな」と感じたものを伝えていきたいです。

温泉オタク会社員 永井千晴さん
コンテンツ制作会社でビジネスプロデューサーとして、アニメや映画、ゲームなどエンターテイメントの仕事を担当。趣味(の延長の副業)として、温泉オタクの活動を実施。「好きな温泉」や「温泉の楽しみ方」を発信している。Twitterのフォロワー数は2.2万名。著書に『女ひとり温泉をサイコーにする53の方法』 - 幻冬舎plus (gentosha.jp)がある。

この記事を書いた人

20代の働き方研究所 研究員 E.S.

1992年9月生まれ。

新卒で入社した企業で法人営業職を2年経験後、内勤セクションに異動し、インサイドセールスの仕組み作りを実施。インサイドセールスから仕事の幅を広げ、現在はマーケティング・商品企画・販売促進・広報を担う。学生時代は教育系NPOでキャリア教育に携わっており、キャリア形成への興味から、20代の働き方研究所に、副業でジョイン。広報・マーケティングのほか、取材や各種調査を担当。
#ビジネスプロデュース #1→10 ♯社内副業 ♯スヌーピー好き

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