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2021.09.17FOCUS

ビジネスで培ったスキルを軸に社会課題に直接触れる「プロボノ」とは?

20代の働き方研究所 研究員 E.S.

プロボノとは

プロボノは、社会人が専門性やスキル、知識などを活かして参加する社会貢献活動のことです。ラテン語の「Pro bono publico(公益のために)」が語源となっています。

・発祥の起源はアメリカ
プロボノは、1908年にアメリカの弁護士が低所得者層向けに無償の法的サービスを始めたことが原点になったと言われています。そのため、税理士や会計士など「士業」として働く人から、取り組みが広がっていきました。

・日本での広がり
日本では、2011年に発生した東日本大震災の際に注目が高まりました。医療や社会福祉、建築、輸送など様々な分野で、専門性を活かした支援が生まれ、広く注目されるようになりました。現在では、デザインやマーケティング、ライティング、ITなど様々なスキルを活かして、幅広い分野でプロボノワーカーが活躍しています。

・ボランティアとの違いは?
社会貢献活動と言えば、ボランティアを思い浮かべる人も多いと思います。プロボノがボランティアと違う点は、「仕事で培った専門性やスキル」を活かして社会貢献をするという点です。自身のスキルを活かせる活動と捉えると、自身がどのような領域でプロボノ活動ができそうか、イメージがわきやすいかもしれません。

・どのように取り組む?
プロボノは、社会人がビジネススキルを活かして参画する社会貢献活動のため、「本業」との両立を図りながら、平日の就業後や休日に取り組むことが一般的です。また、プロジェクトベースでの取り組みが多く、3ヵ月~半年など一定の期間内で活動するケースが多くなっています。事業戦略の立案や、HP制作や広報などの情報発信、寄付を募るファンドレイジング、ボランティアに活動内容を説明する運営マニュアルの作成など、ソーシャルセクター(NPOや地域団体)の事業課題を支援していくことが多いようです。
 

プロボノが注目される理由

最近、プロボノが注目される背景には、「社会貢献への関心の高まり」と「副業ニーズの拡大」が大きく関係しています。

・社会貢献への関心の高まり
就職・転職活動においても、企業のSDGsへの取り組みを意識する20代が増加するなど、「社会貢献性の高い取り組みに関わりたい」「自身の取り組みが、社会に貢献できていると実感できる仕事をしたい」というニーズは高まっています。「ないものがない」と言われる時代に育ってきた私たち20代のなかには、「誰かの役に立ちたい」という思いを持つ人も少なくありません。社会課題に直接関わることができる機会として、プロボノへの関心が高まっています。

・副業ニーズの拡大
終身雇用が当たり前ではなくなりつつあることに、コロナ禍のテレワーク推奨や外出自粛で時間を確保しやすくなったことも重なり、「副業」に取り組みたいと考える人は増加の傾向です。「副業」は、報酬を得る取り組みなので、自身が勤める企業の就業規則などで禁止されている場合は挑戦することができません。一方、プロボノは基本的に無償で取り組む活動のため、副業禁止の企業で働く人も取り組むことが可能です。選択しやすい「パラレルキャリア」として注目を集めています。
 

「他を知るために転職しなくても良い」――プロボノで得られるもの

関心の高まるプロボノですが、得られるメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?

・「自社以外」を知ることができる
仕事で活躍する20代、成果を上げている20代が転職する際、「新卒で入社した会社しか知らないから」「他社も経験してみたいから」という理由を挙げる人がいます。もちろん1つの選択肢ですが、今の仕事に不満はなく、成果も残せている場合、少しもったいないかもしれません。プロボノでは、他社で働くビジネスパーソンと協働し、仕事の進め方を学びあったり、知見を交換しあうことが可能です。「本業」を辞めずに、「本業以外」を知ることができるというメリットがあります。

・「社会課題」に直接触れることができる
20代では、仕事選びにおいて、社会貢献性や社会とのつながりを大切にする人の割合が他の世代よりも高いと言われていますが、「解決したい社会課題」や「自身のやりたいこと」が持てずに模索している人も多いのではないでしょうか。「これを解決したい」というテーマが持てていないことに物足りなさを感じる人もいるかもしれません。社会課題への関心は原体験の有無も影響するため、いきなり「自身のテーマ」を持つことはハードルが高いかもしれません。しかし、プロボノは3ヵ月~半年の期間で参画できるプロジェクトが大半を占めるため、時間が許せば複数の社会課題に触れることができます。特定のテーマではなく、自身のスキルを軸に社会貢献が可能です。様々な社会課題に触れることで、自身の社会との関わり方や、取り組みたいテーマが見つかる可能性も秘めています。

・「本業」「プライベート」では出会えない人脈を築くことができる
ソーシャルセクターの事業課題支援は、当たり前ですが趣味や遊びとは異なり真剣勝負です。課題解決に向けて真摯に取り組むからこそ、プライベートで仲良くするのとは異なる人間関係を築くことができます。プロジェクト終了後も、一緒にプロボノに取り組んだ同志の関係が続くことも多くあると言われています。20代では、自身のスキルや経験で、プロボノワーカーとして活躍できるのか不安に感じる人もいるかもしれません。30代・40代と比較するとスキルや経験で敵わない部分はもちろんありますが、様々な世代で一緒にプロジェクトに取り組むので、20代ならではの若い感性や、デジタルネイティブならではのPCスキル、SNS発信スキルを活かして取り組むことが可能です。学びあいながらプロジェクトを進めることで、普段の生活では得られないような、信頼関係を築くことができるはずです。

初めての参加も支援――プロボノのマッチングサービスも

プロボノとして活動する際は、プロボノを受け入れているソーシャルセクター(NPOや地域団体)に直接問い合わせる他、「プロボノとして活動したい人と、支援を受けたいソーシャルセクターをマッチングするNPO法人経由」で参加することも可能です。プロボノのマッチングを手掛けるNPOや団体がコーディネートしているプロジェクトは、任期や活動内容の要件、目標が設定されているものが多く、初めてでも参加しやすいというメリットがあります。定期的に参加説明会を実施していたり、経験やスキルを活かせるプロジェクトを紹介してくれる団体もあるので、興味がある方は、話を聞いてみてはいかがでしょうか。

【プロボノのマッチングを担うNPO法人】
サービスグラント - 「プロボノ」 経験やスキルを活かしたボランティアを始めよう (servicegrant.or.jp)
NPO法人 二枚目の名刺 | 自分を変える、社会を変える、笑顔になる。 (nimaime.or.jp)
a-con|NPOの広報を社会人・学生ボランティアがサポートする中間支援組織 (a-conweb.net)

 

この記事を書いた人

20代の働き方研究所 研究員 E.S.

1992年9月生まれ。

新卒で入社した企業で法人営業職を2年経験後、内勤セクションに異動し、インサイドセールスの仕組み作りを実施。インサイドセールスから仕事の幅を広げ、現在はマーケティング・商品企画・販売促進・広報を担う。学生時代は教育系NPOでキャリア教育に携わっており、キャリア形成への興味から、20代の働き方研究所に、副業でジョイン。広報・マーケティングのほか、取材や各種調査を担当。
#ビジネスプロデュース #1→10 ♯社内副業 ♯スヌーピー好き

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