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2021.10.29FOCUS

今注目の「FIRE」とは?経済的自立で実現する「仕事一筋」ではない生き方

20代の働き方研究所 研究員 R.W.

「FIRE」とは?

近年注目を集めている「FIRE」という言葉をご存知でしょうか?

「FIRE」とは「Financial Independence, Retire Early」を略した言葉で、直訳すると「経済的自立と早期リタイア」という意味になります。
定年を待たず、なるべく早期にサラリーマン生活を終え、資産運用等を中心に生活していくライフプランで、2014年にダボス会議でFIREが言及されたことで、主にミレニアル世代の若者の間で火が付きました。
この動きは「FIREムーブメント」と呼ばれ全世界に拡大し、日本でも実践しようとする人が増えています。特に2020年以降はコロナ禍の影響もあり、職場や通勤から距離を置きたい人が増え、FIREへの憧れと注目度が一気に上昇しているようです。

定年・退職・サラリーマン生活の終了と聞くと、まだまだ先のことのように感じられるかもしれませんが、早ければ20代・30代のうちに「FIRE」する人もいます。FIREの具体的な計画法、注目される理由・メリットなどを詳しく見ていきましょう。
 

「FIRE」と「早期リタイア」の違い

FIREと似た意味を持つ言葉で「早期リタイア」があります。どちらも定年を待たずに早期に退職することは同じですが、リタイアを迎えるまでの資産の作り方や老後資金の考え方が異なります。

早期リタイアは、会社都合の場合だと割増された退職金を受け取れることもありますが、基本的に退職後は受け取った退職金と将来受け取る公的年金や貯金などを元手に、少しずつ切り崩しながら生活していきます。
それに対しFIREは、経済的自立のために意欲的に貯蓄をし、退職後は運用益などで生活し元手(元本)は減らさないようにすることで、何歳まで生きても問題がないように備えるのです。

あくまで目的は豊かな人生設計を模索して自分で作りあげていくという共通認識が背景にあるようです。

FIRE注目の背景には、「3つの変化」が影響している

では、今なぜFIREがこれだけ注目されているのでしょうか。その理由には、次のような変化が関係していると考えられています。

◆「働き方」が変化

従来は会社員として1つの会社で定年まで勤め上げ、昇給や出世を目指すのが当たり前でした。
しかし副業解禁やテレワークの推進等により、観光地や旅先で仕事をする「ワーケーション」や、会社員として働きつつも他の場所でも仕事をする「パラレルワーカー」、農業で生活する分だけの食を確保し、残りの時間で自分の好きなことや、やりたいことをして働く「半農半X」等、また働く場所だけでなく、時短勤務や週3~4日だけ正社員として働くといった働き方の多様化が進んでいます。

FIREもその新しい生き方・働き方の1つで、今までと違った働き方の選択肢が増えたことで、人生設計とともに改めて働き方を考えてみたい人が増えたのが一因として考えられています。

◆「人生設計の考え方」が変化

FIREが注目されている背景には、人生設計の考え方が変わったことが関係しています。
人生100年時代といわれるように、日本人の平均寿命は年々長くなっており、年金だけに頼るような老後の人生設計は成り立たないのでは、と言われています。加えて、定年が70歳に引き上げられる等、年金受給時期もどんどん後ろ倒しになっているのも現状です。リタイア後のまとまった資金である退職金も1997年の平均2,871万円をピークに右肩下がりで減少しており、2018年には平均1,788万円と20年間で1,000万円以上減っています(厚生労働省「就労条件総合調査」)。

さらに、フリーランスや転職を繰り返している場合は退職金そのものを受け取らない可能性もあるでしょう。こうした時代の流れは自分の力だけでは変えられないため、FIREのような人生設計に注目が集まっているといえます。

◆「資産運用のハードル」が変化

かつては、ある程度まとまった金額がなければ行えないイメージがあった資産運用ですが、近年では1万円以下で始められる少額投資も登場する等、そのハードルはぐっと低くなりました。なかには数百円から始められるものもあって、若者でも資産運用がしやすい仕組みが出来上がっており、FIREを後押しする一因となっています。
また、低金利の影響で銀行に預けておくだけでは資産が増えないことから、資産運用に目を向ける人が増えていることもFIREを身近にしている要因のひとつでしょう。
 

FIREを実現するには

FIREを実現するためには、まず次の手順で必要な資産総額を逆算します。

1.リタイア後の年間の生活費を計算する。
2.その生活費を、資産運用収入でまかなうことのできる資産総額を計算する。
3.FIREに必要な資産総額を貯めるために毎月積立投資を行う。


FIREを実現すると、日々の労働ではなく投資等の資産運用が主な経済基盤となります。この経済基盤を構築するために、FIREを目指す多くの人がそれぞれリタイア後に必要な生活費を計算した上で資産運用を活用しています。

一般的な目安として、主に以下二つが挙げられることが多いようです。

●年間支出総額の25倍の金額を投資元本として確保する。

月25万円、年間300万円の支出がある場合は7,500万円を投資元本として確保することができれば、それ以降は投資の収益で暮らすことが可能だといわれています。

●生活費を投資元本の4%に抑えることができれば資産を減らすことなく暮らせる。

「4パーセントルール」を用いると、年間支出の17~20倍でFIREが可能という見立てもあります。この場合、前述の例だと5,100万円~6,000万円を投資元本にできればFIREが可能だといわれています。

ただし、いずれの目安においても「絶対」はなく、ハイパーインフレや病気・事故といった不慮の事態が起こるケースも当然考えられますので、資産の切り崩しや仕事で収入を得る必要も想定しておかなければなりません。
 

FIRE=豊かな人生を楽しむこと

FIREの実現によって目指すのは、経済的自立のためにお金持ちになることではなく、あくまで豊かな人生を楽しむこととされています。そのため、自分の好きな副業をしながら収入を得る「サイドFIRE」や、気の合う仲間がいる職場に週1~2日だけ短時間働きに行ったりする「バリスタFIRE」など、色々なタイプのFIRE実践者がいます。

自分にとっての「豊かな人生」とは何か?
人生の時間をどんなことに使いたいのか?

FIREの意味を知ることで自分の働き方をもう一度見直し、これからどんな人生を歩んでいきたいのか改めて考える機会にしてみてはいかがでしょうか。
 

この記事を書いた人

20代の働き方研究所 研究員 R.W.

1994年1月生まれ。
新卒でインターネット広告代理店に入社。企業向けのWeb集客コンサルティングに携わった後、事業会社でのマーケティングに興味を持ち、第二新卒枠で転職。現在はWebサイトの企画・運用・集客・分析を担う。自身の早期離職の経験から、20代で形成されるキャリアや仕事観に興味を持ち、20代の働き方研究所にジョイン。好きなものは、気持ちのいい伏線回収が待っているドラマ・映画。 
#デザイン #プロモーション #キャリア形成支援 #テレビっ子

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