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  • 就職人気企業ランキングで、唯一10年間トップに入り続けた企業は?金融→航空・旅行→食品と人気業界が変化の傾向。
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2022.02.09RESEARCH

就職人気企業ランキングで、唯一10年間トップに入り続けた企業は?金融→航空・旅行→食品と人気業界が変化の傾向。

 20代の働き方研究所

「就職人気企業ランキング」は、学生が支持し、就職を希望する企業のランキングです。学生から支持を集めた企業の特徴から、仕事選びや働き方のトレンドを掴むこともできます。20代の働き方研究所では、仕事選びや就職観、働き方のトレンドを振り返るために、株式会社学情が調査した「就職人気企業ランキング」の過去10年のデータを比較し分析してみました。

※企業名は、発表時時点で統一しています。

【TOPICS】
(1)10年前はトップ10に、「商社」3社、「金融」2社がランクイン。人気ドラマの影響も?
(2)2016年卒~2019年卒は、ANA(全日本空輸)が4年連続で首位を独占
(3)2020年卒~2023年卒は、伊藤忠商事が4年連続で首位を獲得。キーワードは○○○改革?
(4)10年間トップ10に入り続けた企業は、伊藤忠商事のみ

 

(1)10年前はトップ10に、「商社」3社、「金融」2社がランクイン。人気ドラマの影響も?

2014年卒の「人気企業ランキング」では、1位の伊藤忠商事を筆頭に、4位に丸紅、10位に住友商事がランクイン。トップ10に「総合商社」が3社入っています。2位に三菱東京UFJ銀行(現:三菱UFJ銀行)、9位にゆうちょ銀行が入るなど、「金融」も2社が名を連ねました。また、2015年卒の「人気企業ランキング」でも、6位に三菱東京UFJ銀行、10位に三井住友銀行が入っています。2015年卒の学生が就職活動をする前には、「半沢直樹」が放送されていました。人気ドラマで仕事風景が紹介されたことも、ランキング結果に影響をもたらした可能性が考えられます。三菱東京UFJ銀行は、2017年卒のランキングまで上位10位に入り続けています。現在の社会人5年目にあたる世代が就職活動をしていた時期まで、「金融」が高い人気を誇っていたことが分かります。

(2)2016年卒~2019年卒は、ANA(全日本空輸)が4年連続で首位を独占

2016年卒~2019年卒は、ANA(全日本空輸)が4年連続で首位を独占。JAL(日本航空)もトップ10に入っており、現在の社会人3年目から6年目にあたる世代が就職活動をしていた時期は、「航空」が高い人気を誇っていたことが伺えます。JTBグループや、オリエンタルランド、エイチ・アイ・エス(H.I.S.)など、「旅行」や「レジャー」も人気を集めていました。この時期は景気が回復傾向にあり、個人の消費活動においても、旅行や観光への関心が高まった時期でした。個人消費が活発になったことも、就職先選びに影響をもたらしていたと推察されます。

(3)2020年卒~2023年卒は、伊藤忠商事が4年連続で首位を獲得。キーワードは○○○改革?

2020年卒~2023年卒は、4年連続で伊藤忠商事が首位を獲得。伊藤忠商事は、朝型勤務など働き方改革に取り組んでいることをPRする広報活動を展開。2020年卒の学生が就職活動をしていたころは、「働き方改革」への関心が高まっていた時期だったこともあり、「働きやすさ」や「健康的な労働環境」も支持を集める要素になったと考えられます。

味の素やアサヒ飲料など、「食品」も高い人気を誇っています。また、任天堂が、2021年卒9位、2022年卒6位、2023年卒5位にランクインし、「ゲーム」も、この3年間で人気が高くなりました。

2023年卒のランキングは、4年連続首位の伊藤忠商事に続き、2位に講談社、3位に集英社がランクイン。出版業界は、漫画・アニメブームに合せて、ビジネスのデジタル化が進んでいます。漫画コンテンツのデジタル化により、漫画に強い出版社は「出版不況」を抜け出し成長軌道に乗ったことが人気を集めた要因と考えられます。人気の食品メーカーは今年も強く、前年と同じくアサヒ飲料、味の素、ロッテがトップ10に入りました。業績が好調なイオングループも、2022年卒から順位を1つ上げ9位に入っています。コロナ禍で「巣ごもり消費」や「ステイホーム」を支える企業は、引き続き支持を集めていることが分かります。

(4)10年間トップ10に入り続けた企業は、伊藤忠商事のみ

10年間トップ10に入り続けた企業は、伊藤忠商事の1社のみでした。伊藤忠商事は2020年卒~2023年卒の調査で、ANA(全日本空輸)(2016年卒~2019年卒のランキングにて1位)以来2社目となる、4年連続首位を誇っており、人気の高さが伺えます。トップ10に入る企業は毎年入れ替わるなか、伊藤忠商事は、継続して学生からの人気を集めていることが分かります。

■研究員の視点
10年間の「就職人気企業ランキング」を振り返ると、「商社」や「食品」「生活消費財」は安定的に支持を集めていることが分かります。また、20代後半にあたる世代が就職活動をしていた時期は「金融」、20代中盤は「航空」や「旅行」が人気を集めていました。2022年卒や2023年卒では、「ゲーム」や電子書籍が好調な「出版」など、「巣ごもり」を支える企業が順位を上げています。成長する企業や、話題になった業界の移り変わりによって、就職先として選ばれる企業は変化していると言えます。Z世代やミレニアル世代と言われる20代は、「企業のパーパス」や「社会的な役割」、「SDGsへの取り組み」への関心が、他の世代よりも高いと言われています。今後、企業の社会貢献性やサスティナビリティが、人気企業ランキングに反映される時代も近いかもしれません。

この記事を書いた人

 20代の働き方研究所

20代中心の研究員で構成された研究機関。20代が主体的に「キャリア」や「働き方」を選択できるように、キャリアや仕事観の形成に関する調査・研究・情報発信を行っています。

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