20代の「働く」に
もっと自由な選択を

この記事をシェアする

  • SPECIAL
  • INTERVIEW
  • 抜本的な改革で社員一人ひとりが意欲的に、主体的に働く組織づくりを実現―。スープストックトーキョーの「働き方“開拓”」とは 【Soup Stock Tokyoインタビュー後編】
  • SPECIAL
  • INTERVIEW
  • 抜本的な改革で社員一人ひとりが意欲的に、主体的に働く組織づくりを実現―。スープストックトーキョーの「働き方“開拓”」とは 【Soup Stock Tokyoインタビュー後編】
2021.08.04INTERVIEW

抜本的な改革で社員一人ひとりが意欲的に、主体的に働く組織づくりを実現―。スープストックトーキョーの「働き方“開拓”」とは 【Soup Stock Tokyoインタビュー後編】

20代の働き方研究所 研究員 Y.S.

株式会社スープストックトーキョー
取締役副社長 人材開発部 部長   江澤 身和(えざわ みわ)様 (写真右)
渋谷マークシティ店 店長         西山 友梨(にしやま ゆり)様 (写真左)


いつでも、誰にでも、おいしいスープを。「Soup for All」の考え方のもと、余計なものは使わず「安心」「安全」なスープを世の中に届けるSoup Stock Tokyo。社員一人ひとりがいきいきと主体的に働く組織づくりを実現する「働き方“開拓”」を掲げ、様々な取り組みを行っています。制度導入の背景や、それによってどのように働き方が変わっていったのか、同社の取り組みを伺っていきます。

在籍することに価値を感じでほしい―。「悔しさ」からスタートした抜本的改革

​​​​​​―ピボットワーク制度(複業制度)(※1)や生活価値拡充休暇(※2)など、様々な制度を導入されていますが、こうした諸制度を導入した背景を教えてください。

(江澤)2016年にスマイルズから分社した当社ですが、前身のスマイルズには「生活価値の拡充」という企業理念がありました。「生活価値の拡充」を実現する上で、働くという点では「誰と一緒に働くか」が重要だと考えています。

働いている中での嬉しいことも、悩むことも、結局は人にかかわることです。スープストックトーキョーで働くということを考えたときに、会社としてどのような働き方を目指し、どのような人と一緒にいたいのかを改めて思案してみました。

言い換えれば、外から見られたときにどういった会社でありたいのか、ということでもあります。そう考えたときに、働くメンバーが自社を自慢できることが大事だ、在籍することに価値を見出してほしい、そのように感じたのです。

※1 ピボットワーク制度とは、社外や、グループ内での複業などを認める制度。社員の可能性を広げることを狙いとしている。
※2 生活価値拡充休暇とは年間120日の休日休暇を付与する休暇制度。


​​​​​―そのように考えるきっかけはどこにあったのでしょうか

小さい店舗の場合、1~5名くらいのパートナー(アルバイト)で店舗を切り盛りする中で、朝早くから勤務する必要がありますし、かといって人手を増やそうとしても、アルバイトを増やすだけでは、突然休んだりしたときに穴埋めをしなければならないこともあり、結果として不規則な勤務体系となってしまいます。

責任感のある社員が多いからこそ、自分の時間を削ってまで働いていることがわかりましたが、年齢を重ねていくとそうした働き方をすることは難しくなっていきますよね。

そして結果として、好きな仕事だと言ってくれているのに、不規則な勤務体系や体力的な問題で退職してしまう社員を目にし、「なぜ辞めないといけないのだろう」と悔しく、歯がゆい思いをしたことがきっかけです。

ただ、すぐにどうにかしたくても人員が豊富だったわけではありません。不規則な業務であったため社員を希望する人も多くはなかったですし、アルバイトから社員への内部登用についても、社員の働き方を見て断念する人もいました。

そうであれば、抜本的な改革をして社員の環境を大きく変えようと思い立ち、まずは月の公休を9日にすることにしました。有給休暇もしっかりとれるようにし、年間休日休暇数が120日となるようにしました。

―年間休日休暇120日とは思い切った決断ですね。

年間休日休暇を120日しっかり取得できる飲食業は多くはありません。ですが、きちんと休みを取れる会社にしたかったのです。また、この取り組みを進めていた際、社員の平均年齢は30歳前後。休みが増えた分、家族と過ごすといった社員もいましたが、もともと、フットワークの軽い社員も多かったため、休みによってできた時間の使い方の一つの方法として「ピボットワーク制度」を導入しました。仕事を辞めることなく、様々な経験を積めることを狙いにしています。

―時間の使い方の一つとしてのピボットワーク制度(複業)というのは、どういうことなのでしょうか

社員に長く働いて欲しいと考えたときに、2005年から新卒採用を実施している当社では、当然ながらスープストックトーキョーしか知らない社員が増えてきました。退職する社員の理由の中には「他の会社や他の仕事についても知りたい」といったものもありました。

そこで、退職をしなくても社内にいながら様々な経験を積めるようにできれば良いのではと考えこの制度を導入しました。もちろん、経験を通じてスキルが身に付けば、その分、自信にもつながります。こうしたことも狙いの一つです。

―ピボットワーク制度はどのような方が利用されているのですか

フットワークが軽くアクティブな社員が多いとお伝えしましたが、言い換えれば色々なことに興味・関心を持つ社員が多いということでもあります。ピボットワークを始めるときにも、この制度を導入することで活用してくれるだろうなという社員はすぐに思いつきました。

たとえ全員が使わなかったとしても、この制度を希望している社員がいるなら―。そして、そのような意欲ある人に道を与えたい、そう思い導入しています。

意欲のある人は周囲に影響を与えるような人だと思っています。社内にこういった意欲ある人の活躍が広まっていけば、自然と刺激を受けて組織が活性化していくものです。また、何かに挑戦する人が評価されるようになれば、自分も同じように挑戦していかないとという雰囲気になっていきます。複業に対して興味がなくても全く問題ありませんが、外で受けた刺激を社内に持ち帰ってくれる社員と良いサイクルが築ければと考えています。

―「働き方“開拓”」という言葉を使われていますが、一連の取り組みによって会社にどのような影響がありましたか

公休を8日から9日に増やしたというお話を先ほどしました。実は公休8日の時には、なかなか完全に取得することができておらず、まだまだ改善する余地がありました。それが9日になったことによって、平均で8.8日の取得を実現することができるようになったのです。

それによってアルバイトを採用することに積極的になる流れも出てきましたし、採用においても応募者が非常に増えるようになりました。飲食業には様々な会社がありますが、その中で選ばれるようになったのです。

―応募者が増えたというお話がありましたが、どのように採用をされているのでしょうか。

当社に入社して、どんなことをしてくれるのか想像のつく方を採用したいと思っています。受け身な姿勢ではなく、主体的な姿勢が見られる方が良いと思いますね。

当社では「表現力採用」として、型にはまらず自分自身を様々な形で表現してもらう採用手法をとっています。好きなことについて全力でプレゼンテーションをしてもらったり、人によっては「アルバイト先で働く自分が一番輝いている」ということで、面接官がその人のアルバイト先まで行ってみたこともありました。

好きなことを人に伝えるときに、その方の人柄はよく出てくるものだと思っています。形式ばった面接ではないので、相手のリアクションがあまり良くなかったときに、どのように伝え方を変えるのかといった臨機応変さも求められます。

お客様と向き合う仕事である以上、一定の表現力は必要です。アルバイトを巻き込むという点でも、熱量をどこまで伝えることができるかは非常に重要です。

―最後に、20代の社会人の方に向けてこれからの社会人生活を歩む上でのアドバイスをお願いします。

色々なことを失敗しても許されるのが20代。もちろん、30代以降になっても失敗しても良いのですが、プライドが邪魔をするようになっていきます。 20代の内は色々なことに挑戦して失敗をしても周囲は気にしません。チャレンジを続け、失敗を繰り返していくことが大事だと考えています。 そのためには、20代の内は「自分はこういう人間です」といった定義づけはしないことです。定義づけしてしまうことで枠が設けられ、それ以上のことに挑戦することが出来なくなってしまいます。可能性を広げていくためにも、どんどん経験を積んでいってほしいですね。 そうすることで、きっと後々に繋がっていくはずです。仕事ひとつとっても、何かのプロジェクトに飛び込んでみる、プラスアルファのことをしてみる、などを意識してみてください。不要だと思われることかもしれませんが、それが評価されるかもしれません。いい意味でこれまでのやり方や、今のやり方に違和感を持つようにしてみてください。





 

株式会社スープストックトーキョー
1999年創業。2016年2月1日設立(株式会社スマイルズより分社)。「世の中の体温をあげる」を掲げ、利益や売上を目的とせず、一杯のスープで目の前の方の体温をあげていくというビジネスを展開。素材に一切妥協せず、化学調味料や保存料に頼らない「安心」で「安全」にこだわりを持ち、全国に60以上の店舗を展開。社員の「働き方“開拓”」にも力を入れており、多方面から注目を集めている

【Soup Stock Tokyoインタビュー前編】 「ジブンゴトで働こう」。「経営者」として店舗に立つ「Soup Stock Tokyo」で活躍する社員の働き方から見えてきた仕事との向き合い方

ーーー
20代の働き方研究所では、「成長企業」「時代を拓く企業」の仕事やカルチャーを体験できる、
インターン・ワークショップの募集情報を発信しています。
スキルの可視化に。社外での腕試しに。やりたいことのリアルを覗きに。仕事を「お試し」してみませんか?
 
仕事を「経験する」JOIN
カルチャーを「体感する」MEET

この記事を書いた人

20代の働き方研究所 研究員 Y.S.

1991年12月生まれ。
新卒で大手新聞社に入社。記者として取材・記事の執筆を経験後、Webサービスを手掛ける企業に転職。約20名のメンバーのマネジメントの傍ら、Webサイトの開発・サイトの集客プロモーション・取材やライティングを幅広く担当。20代の働き方研究所では、企業へのインタビュー取材・取材記事執筆を担っている。
#カスタマーサクセス #コンテンツディレクション #イベントプロモーション #仕事終わりの晩酌が日課

この記事をシェアする