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2021.09.01INTERVIEW

面白法人カヤックは、なぜ「面白法人」を掲げるのか?――独自の制度・企業文化から「イノベーション」に必要な考え方を探る

20代の働き方研究所 研究員 T.H
面白法人カヤック
クライアントワーク事業部 プランナー/ディレクター 片山直也(かたやま なおや)様


「面白法人」という屋号や、毎月全社員がサイコロを振り、その数字によって賞与への加算額が決まる「サイコロ給」など、ユニークな制度が業界を超えて広く知られるカヤック。独自の制度を生み出し続けるカルチャーの源泉には、どのような想いがあるのか。さまざまな企画を通じてクライアントの課題を解決する、プランナー/ディレクターとして働く片山さんに、カヤック独自の働き方や企業風土について伺い、クリエイティブな仕事で成果を上げるヒントを探ります。

 

「昨日遅刻してきた人が、今日遅刻してきた人を叱れる」社風

――カヤックに入社されるきっかけはどういったものだったのでしょうか。
学生時代は全然就活をしていなかったんです。もともとは働くといったら、定年までずっと勤め上げるというイメージがありました。しかし、そうした会社を見つけるためにも、自分が何をしたくて、社会にはどんな働き方があるのか、何も分からないままでは就活ができないとも感じていました。それで、いろいろなことに触れてから判断したいと思い、結局2年間休学して、ソーシャルベンチャーでの長期インターンをしたり、若者向けのイベントを自ら立ち上げたり、Webライターとして活動したり、さまざまなことを経験しました。
地元大阪でその経験をもとに、やがては起業してみたいな…と漠然と思ってはいましたが、自分がアツくなれる特定のテーマがあるわけではなかったので踏ん切りがつかず…。そうこうしていると、ついに親から「いつまでふらふらしてるんだ」と怒られて(笑)。そこで思わず「今すぐエントリーしてやる!」と啖呵を切ってしまい、エントリーしたのがカヤックでした。

――学生時代にいろいろなご経験をされて、ひょんなことからいきなり就活を始めることになったのですね(笑)。カヤックを選ばれた理由は何だったのでしょうか。
まずは「エゴサーチ採用」という制度があったことが大きかったですね。これは、履歴書の代わりにGoogleの検索結果をもとに選考を行う採用制度です。ちょうど学生時代に作った企画がメディアに取り上げられるなど話題になったこともあり、この制度を利用して受けてみようと思いました。
入社の決め手になったのは、採用面接で言われた「カヤックではなんでもチャレンジできる。面白いと思うことをなんでもやってみたらいいよ」という言葉でした。自分自身、これまで漠然と広告やクリエイティブに興味はあったものの、何か一つのことに秀でているわけではなかったため、クリエイティブの世界へ飛び込むことにためらいもありました。でも何か一つのことに限定することなく、自分が面白いと思うことをやればいいんだと背中を押されたように感じて、入社を決めました。

――実際に入ってみて、ギャップはありませんでしたか?
他の企業と比べるとゆるいだろうなと思ってはいましたが、想像以上でした(笑)。時間や場所など、働き方の自由度は高いと思いますね。
あらかじめ相談すれば、オフィスだけでなく、自宅だったり、中には旅先など、好きな場所で働くことができますし、堅苦しい制約などもほとんどなく、社員同士の関係性もフラットじゃないかと思います。
社内ではよく、カヤックの空気感を「昨日遅刻してきた人が、今日遅刻してきた人を叱れる」という表現で例えていて。何かミスをしてしまったことで委縮したり、要らぬ力関係が発生してしまって、本来のパフォーマンスを発揮できないというのは会社としても個人としても不幸ですよね。そういった不幸に陥らないようにするため、互いを許容し、時には立場を超えても叱り合えるようなフラットな空気感があると感じます。

「今期やった一番大きな失敗」が人事評価の基準

――カヤックが大事にしている空気感が具体的に伝わってきますね。そうしたフラットな関係性を大切にするのはどんな背景があるのでしょう?
代表の柳澤は、「イノベーションが起き続ける組織をつくりたい」とよく言うのですが、必ず続けて「イノベーションは数の論理だ」と強調します。ある程度の数がないと成功も失敗も生まれず、イノベーションも生まれない。だから、失敗もたくさんすることが大事だということを言っています。
なので、たとえば四半期に一度の人事評価の自己評価欄には、「今期やった一番大きな失敗は何ですか」という項目があります。そのくらいカヤックでは失敗を許容、もっといえば「推奨」されています。「失敗もしない、でも達成もしない」というよりも、「大きく振りかぶって失敗しました」と、失敗をいとわずに挑戦する人の方が評価されるという傾向があります。そういった挑戦を支えるためにも、フラットな関係性を大事にするような価値観が根付いているのでしょうね。

――失敗すなわち、挑戦の結果となるわけですね。そしてその失敗が大きければ大きいほうが評価される
もちろん失敗しっぱなしではなく、そこから何を学ぶかが大事なのはいうまでもありません。ただ、その「大きく振りかぶる」姿勢によって得られる学びの価値は大きく、働く上ではもちろん、自分の人生にとっても大きな財産だと感じています。そういった意味では、カヤックという会社は「いち社員」としてだけではなく、「いち人間」として見てくれるところがあるんじゃないかと感じています。
そのためか、一度辞めた人がまた戻ってくる、ということもカヤックではよくあります。社内では、社員というよりも「仲間」という表現をよくしていて、採用の場面では「いちばん面白いコンテンツは、仲間です。」というコピーも使われています。会社に在籍している/いないに関わらず、仲間として扱う。そういった企業文化だからこそ、会社に依存せずに働くことができるのかなと思います。

――ちなみにカヤックを経た方は、どのようなキャリアを歩まれるのでしょうか
クリエイターが多い会社であることもあり、早いうちに退職して独立をする社員も多い一方、退職後に業務委託のようなかたちで一緒に仕事をするケースも多いです。あとは漫画家や放送作家になったり、フリーランスで働く方も多数います。そうしたさまざまなキャリアを歩んでいる人たちも含め、会社の「コンテンツ」という考え方をしています。
なので、ほかの企業ではあまりないようですが、自社のHPでは、事業一覧の中に「撤退事業」が含まれていたり、メンバーとして「退職者」を紹介していたりします。一見ネガティブで普通であれば伏せたくなるようなことも含めて、カヤックという会社。離れてからもなんらかのかたちで関わる人が多いのも、そうした当社の「らしさ」にみんな共感しているからこそではないかと思います。

 

入社日に「退職届」を書くことの意義

――片山さんは入社当時どのような想いをもって働かれていましたか?
カヤックでは、入社した日に「退職届」を書かされるんですね(笑)。「私はTwitterで10万リツイートのバズを10個生み出し、次にやりたいことができたため、退職します」といったようなことを新卒の入社式で読むんです。まだ何もしていないのに(笑)。
それはカヤックで何を成し遂げるのか、そのゴールをしっかり描いた上で働いてほしいという意図があるのだと思います。

――面白いですね(笑) 入社時点で将来の達成目標と「架空の退職理由」を書く
そうです。会社としては、会社を辞めるということをまったくネガティブにとらえていません。むしろ、会社を辞める/辞めないということ以上に、社員自身が将来どんなキャリアを描いていくかを大事にしているといえるかもしれません。
私自身、入社式で打ち込んだ「杭」が、今でもずっと刺さっているのを感じています。同期の中では、すでに「退職届」通り有言実行した人もいますが、その時の印象を持ち続けている人もいるんじゃないかと思います。

 

「何をするかより誰とするか」

――今、世界的に働き方が大きく変化しています。その中でカヤックが大事にしていることはどのようなものなのでしょうか
長期的にみると、副業やフリーランスの働き方はより一般的になっていくと思われます。それにともなって「働く場所」の価値が、相対的に下がっていくのかもしれません。事実、グループ会社のうちの一社は完全にオンライン上での働き方にシフトしていますし、カヤック本体としても、今後そういった働き方に移行していく可能性は考えられます。ただ現状は、できるだけ「リアル」な場を大事にしたいと思っています。
要件を伝えるだけであれば、オンライン上のコミュニケーションでも支障はありません。しかし、何気ない相談や無駄話から想像を膨らませようとするときは、やはり「リアル」な場が向いています。私たちの仕事には、実際に顔を突き合わせるからこそ生まれるようなアイデアが欠かせません。
当社は環境的にリモートワークをしやすい会社だと思います。しかし、「リモートワークをしやすい」中でもあえて会社という場に集まるのは、リアルで集まるからこそ実現できる価値がある、とみんなが考えているからなんですね。

――なるほど。ではそうした会社で働く中で、片山さん自身は今後どのような働き方が理想だと思いますか
今後は、今以上に仕事とプライベートの境目がなくっていくのではないかと思っています。理想の働き方はもちろん人によって異なります。だからこそ、仕事/プライベートを切り分けて働く人と、シームレスに働く人の差が、ますます広がっていくのではないかと思っています。
そしておそらく、カヤックは後者の働き方に向いています。自分にとって心地よいと思える人や環境のもとで、何時間やっても楽しくて仕方ないと思えることを思う存分やる。そこに楽しみを見出せる人が集まっているように思います。少なくとも私は、自分の好きなクライアントワークをやらせてもらってお給料をもらっているので、今はそれで十分ですね。とはいえ、給料日にサイコロの目が「1」だとやっぱりへこみますけど (笑)。
評価の仕組みとしてはほかにも、「サイコロ給」とは別に、「スマイル給」という社員からもらえる「ありがとう」といった“言葉だけの給与”もあります。こうした制度を運用していった結果、言葉での評価や承認のような、お金以外の要素も大事にしたい人たちが、多く入社したり残ったりしているのかなと思います。

――そうした制度や理念を通じて、自然と同じ価値観を持つ人が集まり、組織が作られているのは理想的だなと感じました
「面白法人」という言葉には、「面白い人」である前に、まず何事も「面白がれる人」であれ、という意味が込められています。また、カヤックでは「何をするかより誰とするか」という理念も大事にしています。
ですので、何事も自発的に「面白がれる人」、そして一緒に仕事をしたいと思える「仲間」を大事にできる人が社内には多くいる気がします。
そういった価値観に共感したり、居心地が良いと感じている人同士が働ける場所があるのは、たしかに理想の働き方の一つなのかもしれませんね。

面白法人カヤック
1998年8月3日設立。「つくる人を増やす」の経営理念のもと、面白いサービスを次々にリリースするクリエイター集団。鎌倉に本社置いた職住近接のワークライフスタイルや、サイコロでボーナスが決まる「サイコロ給」など、オリジナリティのある制度によっても注目を集めている。
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この記事を書いた人

20代の働き方研究所 研究員 T.H

1991年5月生まれ。
大学卒業後、就職情報会社にクリエイターとして入社。以降、規模や業種を問わずさまざまな企業の採用サイトやパンフレットなどを制作。モットーは「ユーザー起点」。20代の働き方研究所では、記事執筆のほかコンテンツ制作も担当。休日の過ごし方は読書と古着屋巡り。 
#コンテンツディレクション #社会課題の可視化 #現代アート

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