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2021.12.01INTERVIEW

お客様の声に寄り添う。前例がないから、やる。OisixのEC事業のリーダーが考えるD2Cビジネス成長のカギ


オイシックス・ラ・大地株式会社 OisixEC事業本部 サブスクリプション進化室
副室長 神田 聡美(かんだ さとみ) 様


食品のサブスクリプションサービスを展開するオイシックス・ラ・大地株式会社。ECサイト事業を主軸に魅力的な生産者が生み出した安全・安心な有機野菜や無添加加工食品を食卓に届け、多くの方の豊かな食生活の実現に貢献しています。今回はその主事業であるサブスクリプションサービスを担当する、ECサイト事業本部・サブスクリプション進化室の副室長である神田さんにお話を伺いました。D2Cビジネスの推進やサービスの企画・開発に必要なポイントに迫ります。そして、20代の神田さんがオイシックス・ラ・大地で、どのようにキャリアを築かれてきたのか、その姿勢や考え方を伺いました。


注文してから届くときまでワクワクできるサービス。そして圧倒的な差を感じた先輩。オイシックス・ラ・大地に出会うまで―。

―新卒でオイシックス・ラ・大地に入社されたそうですね。どのような経緯で入社をされたのでしょうか

学生が自分の手で運営するカフェがあり、私も学生時代に参加をしていました。そこでの経験から「食」に興味を持ち、食品業界に就職したいと考えました。その中でもオイシックス・ラ・大地(当時はオイシックス株式会社)へ興味を持つようになったのは、「Oisix」のトライアルセットを注文したことがあったからです。食材の美味しさにも感動しましたが、注文してから届くまでの間に、農家の方から手書きの手紙が届くんです。「いま、収穫をしているから楽しみにして待っていてください」といったメッセージが書いてあり、待っている間もすごくワクワク出来るサービスなんだな、と印象的でした。食べても美味しく、注文をしてから待っている間もワクワクを届けられる会社って素敵だな、と思ったことが入社をしたいと思った最初のきっかけです。

―学生時代からトライアルセットを注文されるくらい「食」に強い興味があったのですね

実は小さい頃から親が食材の宅配サービスを利用していたんです。そうして届いた食材を使ってお菓子を作ったりと、色々と楽しんでいました。当時は実家に住んでいましたが、ご飯の時間がすごく楽しみだったことを覚えています。「Oisix」のトライアルセットを注文したのもそうした背景があって、「最近はこんな流行りの食品宅配サービスがあるらしい」というちょっとした興味から注文しました。

―そうして食品業界を志されたのですね。しかし、食に関わる会社は非常にたくさんありますよね

その通りですね。私も飲料メーカーや食品メーカーの選考も受験しました。最初はどの会社も魅力的に見えて、食品に関わる会社であれば積極的に興味を持つようにしていましたね。

ただ、企業や仕事について研究を深めていくと、食品業界の営業職は食に近いようで遠い仕事だということに気づいたんです。例えば食品メーカーの営業職であれば、スーパーなどの小売店への営業となりますよね。確かに最終的には食卓に届く食品を扱うのですが、直接、お客様に食品を届けることが出来ません。食卓からは遠い存在だと感じたのです。

その点、「Oisix」のサービスに携わることができれば、お客様に会う機会もあり、自分たちのサービがどのように利用されているのかを聞くことが出来ます。そんな風にお客様と直接触れ合うことで、食卓に近い仕事が出来るのではないかと思ったのです。

―学生時代にはインターンシップにも参加されたそうですね

はい。選考の過程で3日間の短期インターンシップにも参加しましたし、内定後に長期インターンシップにも参加しました。選考過程の短期インターンシップでは、小規模の事業を立案するプログラムを実施し、現場社員の方からフィードバックをいただきました。

自分よりたった1歳、2歳上の先輩なのに、深いフィードバックをしていただくなど、当時の自分とは圧倒的な差を感じました。とにかく「すごい」と感じたんですよね(笑)

さらに、一人ひとりが事業の中心人物として楽しそうに働いているということを知って、「自分もこんな人になりたい!」と強く思い、入社を決断しました。
 


直接出会い、生の声を聞く。毎週のアンケートに目を通す―。徹底的にお客様の「声」に寄り添う姿勢

―ご入社されてからのキャリアについて教えてください

2015年に入社し、まずは「サービス進化室」へ配属となりました。この部署は代表の髙島直下の部署であり、「今いないお客様向けのサービスを作ること」をミッションとしています。当時であれば、各種サービスをご利用いただくにあたってのスマートフォン化の対応をしたり、今では主力のサービスとなっているKit Oisix(ミールキット)の開発などを手掛けていました。

入社当時、世間ではミールキットはまだまだ浸透しておらず、Kit Oisixをもっと成長させ、進化させていくためにはどうすれば良いのかを考えていましたね。

―入社してすぐに社長直下の部署に配属されたのですね。プレッシャーもあったのではないでしょうか

入社してすぐのことですから、仕事をするにあたって何も知らないことばかりでした。だからプレッシャーを感じている余裕は一切なかったですね(笑)。この時期はとにかく知らないことを無くしていくために、周囲からノウハウや知識を習得していた期間でした。

サービス進化室ではチームで戦略を考え、代表にフィードバックをもらいながらプランを実行していくのですが、週に2回の定例ミーティングで、代表から直々に事業の作り方を教えてもらう機会があり、インプットすることが出来たことは貴重な経験になりましたね。そして2年半の在籍期間の後、EC事業部へ異動することになりました。

―EC事業部ではどのようなお仕事を担当されたのでしょうか

サービス進化室では「今いないお客様」を対象としていましたが、EC事業部ではOisixの定期会員様を対象にしたサービスを展開しています。Kit Oisixを軸として、商品販売戦略を毎週企画していました。季節のイベントの企画、シェフや料理家といった皆さんとのコラボメニューの企画など、内容は様々です。

ミールキットを使われる忙しいお客様の声を聞き、どのようなサービスが必要となるのかを検討していくということが、仕事の軸でした。

―そして現在のEC事業本部のサブスクリプション進化室へとキャリアを積まれていったのですね。これまでの経験からどのような力が身に着いたと感じていますか

お客様のライフスタイルへの理解をより深めることが出来るようになったのではないかと考えています。サービス進化室時代には、様々なお客様に直接お会いをしました。お客様にとってKit Oisixの何が響き、どのようなニーズがあるのかを徹底的に理解をするためです。時にはお客様の冷蔵庫の中まで見せてもらって理解を進めていったこともあります(笑)。

―冷蔵庫の中まで、ですか(笑)。実際にお客様のもとに行き、そこまで徹底的にリサーチされるというのはすごいことですね

いえ、実は当社ではお客様に会うということは当たり前のことなんです。事業部以外の担当者ももちろんですが、代表も自らお客様の声を聞くことを実践しています。喜んでいただくためにはお客様への理解が土台となります。

―お客様へのアプローチではどのような点を工夫されているのでしょうか

新しいミールキットのカテゴリを作るにしても、解約理由の傾向からサービスの改善を考えるにしても、お客様の声は大変貴重なものですが、何となくのインタビューでは意味がありません。しっかりと仮説を立てて、聞きたいことを具体的にし、何を知りたいのか整理をしてからインタビューに臨むようにしています。

また、サービスの課題や、もっと欲しいサービスを、一度の質問で明確に話すことが出来る方はそう多くはないと思います。そこで色々な質問を投げかけてみて、引っ掛かった部分というか、熱量の高い部分を探っていき、どうしたらそのお客様の考えを引き出すことが出来るかを考えています。

お客様全員とお会いしたいところですが、なかなか、そうもいきません。購買データなどの数値を持ち合わせていますので、「こんな購買行動をしている人に話を聞こう」とターゲットをセグメントしてお話を聞きにいくということも、工夫の一つですね。
 


―サブスクリプション型のサービスでは、いかにファンを大事にするかが重要なポイントになるかと思います。お客様に直接お話を聞くことの他に、どのような取り組みをされているのでしょうか

常に実施していることはミールキットをご購入いただいたお客様に毎週アンケートを配信し、返信いただいたアンケートを読み込むということです。アンケートの他にもECサイト上でコメントを記載することもできますので、そのアンケートとコメントを合わせて週に3,000件ほどのご意見をいただいています。

―3,000件ものアンケートやコメントの全てに目を通されているのですか

はい。そうすることで商品・サービスをどのように改善するのかを考えたり、販売を継続する商品を決めたりといったことをしています。

もちろん、3,000件ものご意見の全てに応えるということは難しいことですが、いただいたご意見をグルーピング、カテゴリ分けし、どういった声が多いのかを分析するようにしていますね。また、時には厳しいご意見をいただくこともありますが、そうしたことにも真摯に向き合うことで信頼関係を築くようにしています。
 


「前例はない、だからやる」-。ゴールに向かって、新しいチャレンジを楽しむことで切り拓かれるキャリア

―そうしたお客様の声と向き合い、どんどん新商品も開発されているそうですね

Kit Oisixは週間に20以上のメニューを取り扱っています。新商品も毎週2~3種類はリリースしていますね。それを現在は4人のチームで担当しています。

―たった4人でそこまでの業務を担当されているのに驚きました。それだけの仕事をこなしていくことの原動力には何があるのでしょうか

オイシックス・ラ・大地には『ORDism(オーディズム)』という7つの行動規範※があります。その7つ目にある「前例はない、だからやる」という行動規範が一番好きで、チームにも浸透させるようにしています。今までと同じことをしていても、お客様から驚かれたり、喜ばれたりすることはありません。だからこそ、今までやっていないことをやっていきたいと思っています。チームでも「それいいじゃん!」と言い合いながら、お互いにアイディアを出し合って新しい企画を出していっていますね。

行動規範にそのように定めてあることもあり、新しいチャレンジを楽しむことができるというカルチャーが会社全体にもあるように感じています。

※『ORDism(オーディズム)』…ミッションである「これからの食卓、これからの畑」を実現するために、7つの行動規範を評価の軸に定め、日々業務を行っています。

―一方で、新商品の企画をしたとしても、例えばそれに相応しい生産者の方を見つけるなど、関係者との調整なども非常に大変そうに感じてしまいます

確かにミールキットの開発には多くの関係者が携わっています。商品として世の中に出すまでに、生産者の方ももちろんですが、例えばKit Oisixに付属するレシピをデザインするデザイナー、レシピを実際に作る担当者、青果のバイヤー、加工食品専門のバイヤー、パッキングの担当者など、本当に関係者はたくさんいます。

そこで、定期的なミーティングを通じ、毎週全国から情報がはいってくるように情報連携ができる体制を築いています。そうした体制もあって、チャレンジがしやすい環境ですね。
 


―ご自身でも商品企画を担当されつつ、現在は副室長としてのマネジメントも担われています。チームとしてミッションをクリアしていくためにどのような工夫をされていますか

事業を成し遂げるためには、自分もチーム員も方針を腹落ちさせることが大事になると考えています。特に色々な新商品を開発するなど、複数の案件が並行している場合、時には迷走してしまったり、ある案件にだけ集中しすぎてしまっていると、ゴールを見失うこともあると思います。

そこで、今の自分の仕事は何のためにしているのかを常に確認することを意識しています。目的を明確にし、腹落ちすることが出来なければ、向かうべきゴールがズレていってしまうからです。

大元となるゴールや戦略をきちんとチームに落とし込み、単に「これをやりたい!」ということではなく、「これを実現するためにこれをしよう!」と、何のためにやっていくのかを理解して動かしていくようにしていますね。

―様々なお客様の声に接してこられたかと思いますが、コロナ禍でニーズなども変化してきていることと思います。今はどのような声に応えているのでしょうか

コロナ禍で外出が減ったことにより、お客様は増えていっていますし、確かにニーズも変わってきています。リモートワークが増え、自宅でお昼ご飯を用意しなければならなくなりました。それによってミールキットのランチでの需要が高まっています。

また、飲食店が休業となり、なかなか外食が出来ない状況もあり、自分の作った料理の味に飽きてしまったり、人が作ったものを食べたいという声も高まりました。そうした時には飲食店とコラボレーションした商品を企画・販売したり、お子様と一緒にエンタメ的に楽しめるような体験型のミールキットを販売するなどしました。

―ここまでサブスクリプション推進室の副室長として、どのような意識で事業に向かわれてきたのかをお話いただきました。改めて、D2Cビジネスを推進するにあたって、重要となるポイントについてお聞かせください

何と言ってもお客様の声を聞くことに尽きると思います。コロナ禍で社会は目まぐるしく変化していきました。そしてお客様のライフスタイルもそれに伴って変化を強いられています。お客様の声を聞き続けることなしには、そうした変化に気づくこともできません。そして変化に気づき、自分たちも変わり続けなければならないと思っています。

―そうしたお考えを持つ神田さんが、今後、成し遂げたい目標やキャリアビジョンはありますか

やはりより多くのお客様にKit Oisixをご利用いただきたいですね。価格面での工夫や、より一層フードロスなどの環境問題に配慮できるような仕組みにするなど、まだまだ改良の余地があります。より多くの方が使い続けたいと思えるようなサービスにしていきたいですね。

―最後に、この記事を読む読者の方に向けてメッセージをお願いします

新卒で入社し、無知の状態から始まったキャリアですが、サービス進化室時代に色々なフィードバックをもらうことで、できることの幅を広げることができました。

自分はまだ何も知らない、分からない、ということをベースに、真っ白な気持ちでフィードバックを聞いたことで能力を高めることができたのではないかと思います。そうした周囲からのアドバイスなどを柔軟に吸収していってほしいですね。
フィードバックを受けるためには自ら何かに挑戦しないといけません。自分がまだやったことのない新しいことに、ぜひ、面白がってチャレンジしていってみてください。
 


オイシックス・ラ・大地株式会社

2000年6月設立。2017年10月に株式会社大地を守る会と経営統合を果たし、2018年7月にオイシックス・ラ・大地株式会社に社名を変更。同年10月にらでぃっしゅぼーや株式会社と経営統合し、現在の体制を築く。「これからの食卓、これからの畑」を企業理念とし、食に関わる社会課題をビジネスという手法を通じて解決し続ける。自然派食品宅配業界ナンバーワン企業として、有機野菜や無添加加工食品などの安心・安全な食品を、忙しい現代人のニーズに応えるミールキットといった形態で食卓に届ける価値提案型の食品EC事業を主軸におく。その他、買い物の困難な高齢者などを対象にした移動販売スーパー「とくし丸事業」や、香港・上海・アメリカでの海外宅配事業、基準をクリアした青果・加工品を提携スーパーで販売する「Shop in Shop」、保育園の施設運営を給食・食育の面からサポートする「すくすくOisix」など、幅広い事業を通じ社会課題に貢献し続けている。
 
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