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2022.04.13INTERVIEW

SDGsへの取り組みや、社会貢献をもっと身近に。BIPROGY(旧:日本ユニシス)の描く新しい社会貢献型ビジネス

20代の働き方研究所 研究員 Y.S.
BIPROGY株式会社(旧:日本ユニシス株式会社)
ビジネスイノベーション推進部 データビジネス創出センター 一室
グループマネージャー・呉花 楠(くれはな なん)様(写真左)
品川 未来(しながわ みく)様


SDGsが掲げるゴールの達成に向け、企業として積極的な取り組みをすることが社会的な責務となりつつあります。今回はソーシャルアクションプラットフォーム「BE+CAUS(ビーコーズ)※」を推進する同社の呉花さん、品川さんにお話を伺いました。「第三のセーフティーネット」となるように事業を成長させたいという思いの下、BE+CAUSをどのように推進してきたのかに加え、社会課題を解決する事業を推進していくために必要な考え方についてお話いただきました。

 

※BE+CAUS(ビーコーズ)
BIPROGYと大日本印刷(DNP)が提供する提携小売のスマートフォンアプリを通じて、メーカーのさまざまなプロモーションを実行する「スマートキャンペーン」と、株式会社STYZの提供するNPO・NGOなどが参加する国内有数のドネーションプラットフォーム「Syncable」が連携したソーシャルアクションプラットフォーム。

BE+CAUSに賛同するスーパーなどの小売企業が提供するアプリをダウンロードした消費者が、同じくこの取り組みに賛同するメーカーの商品を購入することによって、その売上利益の一部を、社会課題解決活動を担うNPO・NGO団体に気軽に寄付することができるというというもの。

2020年7月の発足後、これまでに海洋プラスチックごみ問題や、こども食堂支援など5つのキャンペーンを実施し、社会課題の解決やSDGs達成に向けて貢献している。

 

食品ロス、教育現場の負担。目の当たりにした社会課題とBIPROGYへの入社のきっかけ

―呉花さんは中途で、品川さんは新卒でBIPROGYに入社されたそうですね。まずはどうしてBIPROGYに入社されたのか教えてください

(呉花)今年、BIPROGYに入社しました。前職は貿易会社に勤務していました。海外から食品をバルクで輸入する業務を担当しており、100トン近い物量を取り扱っていましたが、そこからたった1%の食品ロスであっても1トンもの食品を無駄にしてしまう、そういった現実を目の当たりにしていました。

SDGsの観点からも食品の大量のロスは解決しなければならない課題であると感じていましたし、そうした社会課題にトライできる仕事を探している中、BIPROGYの「BE+CAUS」という取り組みを知り、「ビジネスと社会課題の解決の両立ができる」とスキームに面白さを感じ、入社を決めました。また、これからは社会課題の解決にIT技術を活用した施策は必須だと感じており、それらに強みを持つBIPROGYの様々なデジタルアセットは入社の決め手の1つでした。

―「BE+CAUS」を転職活動の時から知っていたのですね

(呉花)転職活動中は、まずはインターネットで情報収集をしていたのですが、当社に知り合いがいて話を聞く中で知りました。話を聞いていてすぐにこの取り組みに共感し、前職でも食品ロスの課題解決の取り組みをしていたこともあったので、その経験も生かしてみたいと思いました。

―すると、食品ロスへの問題意識が高まっていた中、「BE+CAUS」を偶然知ったということなんですか

(呉花)「BE+CAUS」を知ったことは偶然ですが、先ほどお話をしたように、食品ロスに大きな課題を感じていました。例えば私が前職で取り扱っていたチーズ。大手ピザチェーンや乳業メーカーに卸していたのですが、300トンを仕入れたとして2~3%にあたる6~9トンをロスしていたんです。これらは商品の輸送中に発生した外装パッケージの破損によるものから、残存賞味期限の短さによって受け入れ拒否されたものまで、商品自体には何ら問題のないものばかりでした。この量はスーパーなどの小売店で扱うような量ではありません。広く課題解決をしつつ、ビジネスとしてマネタイズできるようなスキームが必要であることはずっと考えていました。

―品川さんは新卒で入社されたそうですね

(品川)はじめはIT業界を志望していませんでした。学生時代、塾講師のアルバイトをして人の成長を手助けする部分にやりがいを感じていたこともあって、漠然と教育業界を希望していました。ただ、昨今教員の長時間労働などが社会問題になる等、学生・生徒ときちんと向き合って仕事をすることができるのだろうか、という疑問を持っていましたね。

そうして就職活動をしている中でBIPROGYと出会いました。そこで「ChiReaff Space(チャイリーフスペース)」という保育業支援クラウドサービスを手掛けていることを知り、ITの力で保育現場の課題を解決していることに驚きました。

このサービスを知ったことで、教育現場へのかかわり方は“先生” だけではないのだと選択肢が広がり、さらにIT企業であれば教育現場だけでなく、幅広い業界の課題を解決できると思い当社へ入社を決めました。その後、入社時より「スマートキャンペーン」に関わっていますが、2年目になったタイミングで上司から「スマートキャンペーンを使って何か新しいことに取り組んでみないか」と声をかけてもらい、もともとITを使って社会課題を解決したいという想いももっていたので、「BE+CAUS」に参加していくようになりました。
 

ビジネスと社会課題の解決を両立しながら、社会貢献をもっと身近なものへ

―スマートキャンペーンを活かした取り組みである「BE+CAUS」がスタートした背景は何だったのでしょうか

(品川)昨今、メディアでもSDGsに関する内容が取り上げられるなど関心が高まってきており、SDGsに関連する取り組みを実践する企業も増えてきていますが、なにから始めたらいいのかわからないという企業も多くいらっしゃると思います。一方で生活者自身もSDGsの達成に繋がるようなアクションを自ら起こすことへは高いハードルを感じています。

そこで、どうしたら企業や生活者にとって社会貢献活動を身近にできるのかを考えた時、生活者と小売企業とメーカーを繋ぐスマートキャンペーンの仕組みを活用できないかという話になったんです。企業は既存の販売活動の延長線上で社会貢献活動に取り組むことができますし、生活者は日常的な買い物の中で取り組むことができます。この仕掛けを使えば、誰でも気軽に社会貢献活動へ参加できるのでは?というアイディアで「BE+CAUS」はスタートしていきました。

―そうしたアイディアから生まれた「BE+CAUS」ですが、形にするまでには苦労もあったのではないでしょうか

(品川)支援側となる生活者や企業は、スマートキャンペーンのプラットフォームでつないでいたのですが、支援先となるNPOとのチャネルがなかったので、協力いただけそうな企業を探し、株式会社STYZとの連携をはじめました。STYZには2,000を超えるNPO・NGOとのネットワークがあり、ここは今後プラットフォームを展開する上でも大きな強みになると感じました。

また、小売へは企業が事業活動と両立して社会貢献活動を行うことの重要性を粘り強く説いてまわりました。現在も賛同企業を増やす取り組みを続けていますが、将来的には買い物だけでなく日常の他のアクションからでも社会貢献に参加できる場がつくれるといいなと思っています。
 
―賛同企業を粘り強く増やされているそうですが、どのような反響があるのでしょうか

(呉花)小売業やメーカーの多くから、「BE+CAUS」のコンセプトには共感いただいています。一方で、この取り組みは社会課題解決と同時に、事業としてきちんとマネタイズできる仕組みを両立させなければいけません。賛同企業を増やすということは、「BE+CAUS」での活動に参加することで結果的に自社の収益向上につながるということに納得していただく必要がありますので、そうした点はまだまだ頑張っていかなければならないと思っています。

―消費者の方はどのような感想を持たれているのでしょうか

(品川)BE+CAUS」に参加された消費者の方にアンケートを取ってみると、社会課題を身近に感じられるようになったことに加えて、賛同企業を応援しようという気持ちになったという結果も出ています。「BE+CAUS」に参加しているから、その小売店で商品を買ってみようと思ったという声もありますね。また、一度、参加した人の約半数の方が、その後も継続参加されているという結果も出ており、ご参加された方からはご評価いただいているようです。

―消費者が好意的な意見を寄せてくれているといっても、賛同企業を増やすのはチャレンジングなことなのですね

(品川)先ほどの繰り返しになってしまいますが、やはりただの慈善活動ではありません。企業の利益の一部を社会貢献活動に回すということですので、そもそもビジネスがうまく回らなければ出来ないことなんです。

また、社会課題の解決は短期的に成し遂げることはできません。長期的に「BE+CAUS」を通じて取り組みを続けていかなければなりませんので、そうした点もご理解いただかないといけないですね。

―「BE+CAUS」に参加するステークホルダーは企業やNPOだけを想定されているのでしょうか

(呉花)あくまで個人的な意見ですが、民間企業だけの取り組みではインパクトが小さいと思っています。自治体や行政などを巻き込んでいくことも一つの方向だと思いますね。社会課題の中には生活者のセーフティーネットがうまく機能していないという問題もあり、そうした場合には行政と連携する方が効果的なアプローチに繋がることもあるからです。

―自治体や行政との連携というと、具体的にどんな取り組みが考えられるのでしょう

(呉花)例えばこども食堂の運営団体を支援するとなったときに、母子家庭や父子家庭など、ひとり親世帯の多い自治体にとっては、そうした支援活動は大きな価値をもたらすものと思っています。

(品川)自治体との連携は、賛同企業である小売企業にとってもプラスに働くと思いますね。スーパーなどの小売店は地域密着でお客様にサービスを提供していますので、自分たちが賛同する取り組みで、自分たちの商圏の人々にどんな価値を提供することが出来たのかをPRできることは、自社のファンを増やすことにもつながると思います。

―「BE+CAUS」ではこれまでに様々なキャンペーンを実施されていますが、そもそも取り組むべき社会課題の優先順位などはどのようにつけているのでしょう

(品川)初回のキャンペーンは2020年7月の海洋ごみ問題の課題解決促進に取り組むという内容でした。レジ袋の有料化がスタートしたタイミングで、一般の消費者の方にとっても関心をもっていただきやすいのではないかと思い、テーマを決めました。

また、第2回目は「食育」をテーマにこども食堂の支援活動を実施しました。この時はコロナ禍で学校給食が中止となるなど、学校での食育の場が少なくなってしまったことや、親の失業に伴って食事を満足に与えられない状況にある家庭があるという課題も明らかになったことなどを背景に決めました。

このように、その時々の社会情勢や、小売店をよく利用する方が関心をもってもらいやすいことをキャンペーンのテーマとしています。
 


―2020年7月に始まった「BE+CAUS」ですが、今後、実現したいこととしてどんなことをお考えでしょうか

(呉花)生活者の方は特に費用もかからずに、いつも使っているスーパーのアプリからエントリーをするだけで社会に貢献できるという気軽さが「BE+CAUS」の良い点です。より多くの方が参加をすれば、その分、もっと多くの社会課題を解決できるものだと思っています。

そして、より多くの方に参加いただくためには、もっと多くの小売企業に賛同企業となっていただく必要があります。ですので、いつかは日本中の小売企業が参加し、その結果、少しでも世の中にある社会課題解決に寄与することができることを願っています。

(品川)最近では学校教育やメディアからSDGsというキーワードを知る方も増えてきていると思います。そうして知識として身に着いたことを、アクションにつなげる部分で、「BE+CAUS」が役立てるとよいと思っています。

SDGsは2030年を目標の達成期限としていますが、達成に近づくためには継続的に取り組みを続けていくことが重要だと思っていますので、「BE+CAUS」に賛同する仲間が今後より増えていくことで、アクションを起こせる場が増えればいいなと思っています。

自分の仕事に正義はあるか?仕事を通じて社会に貢献するには

―ここまでお話いただきありがとうございました。仕事を通じて社会に貢献したいと考える20代が増えている中、 自分の仕事を通じて社会課題を解決するために必要な考え方や視座とは何か、最後にお聞かせください

(品川)世の中には様々な企業があってそれぞれが色々なサービスを世の中に提供していますが、そのサービスがどんな社会課題を解決しているのかを理解することが必要だと思っています。今自分がやっていること、やりたいことがどういった課題の解決につながるのか考えて、そのために今何が必要なのかを考えてみるのが大事だと思っています。

あと身近なところですと、普段の生活の中で不便に思うことを知るということから始めてみるのもいいと思います。私も教育現場の課題を学生時代に感じ、それを解決できるサービスがBIPROGYにあると分かったので入社を決めました。

仕事を通じて社会に貢献するために、まずは身の回りにある課題を見つけることから始めてみるのが良いのではないでしょうか。
 


(呉花)まさに仕事を通じて社会に貢献したいと思い、転職をした私は「自分の仕事に正義はあるのか?」ということを考えていました。

自分の仕事は自分でないとできない仕事なのか、競合他社にはできない仕事なのか、ということに加え、世の中にある課題解決に臨んでいるのかということも考えていました。日々、寝るときに自分が笑顔になるには、仕事を通じて誰かを笑顔に出来ているかがすごく重要だと思っています。

20代から30代にかけて自分の仕事の価値が何かを考える方もいるかもしれませんが、自分がいる組織が社会課題解決に臨んでいるのか、その組織にしか出来ない仕事をしているか、そしてその組織の理念や方針に共感することが出来ているかを物差しにしてみてほしいと思っています。

そこに疑問があるようであれば、転職を通して別のフィールドを選ぶということも一つの選択肢になり得るのかもしれません。







BIPROGY株式会社(旧:日本ユニシス株式会社)
1958年3月29日設立。「顧客・パートナーと共に社会を豊かにする価値を提供し、社会課題を解決する企業」を存在意義として定義し、システムインテグレーターの先駆けとして日本の情報化社会の形成・発展に貢献。これまで培ってきたICTコア領域(既存事業領域)に加え、中長期的に成長が見込まれる市場である「ネオバンク」「デジタルアクセラレーション」「スマートタウン」「アセットガーディアン」の4領域を注力領域として、社会課題の解決・持続的な成長サイクルの実現を目指している。

この記事を書いた人

20代の働き方研究所 研究員 Y.S.

1991年12月生まれ。
新卒で大手新聞社に入社。記者として取材・記事の執筆を経験後、Webサービスを手掛ける企業に転職。約20名のメンバーのマネジメントの傍ら、Webサイトの開発・サイトの集客プロモーション・取材やライティングを幅広く担当。20代の働き方研究所では、企業へのインタビュー取材・取材記事執筆を担っている。
#カスタマーサクセス #コンテンツディレクション #イベントプロモーション #仕事終わりの晩酌が日課

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