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2022.06.01INTERVIEW

「大手/ベンチャーに大きな違いはない」。イジゲングループ代表が語る、企業規模を超えて重要な“想い”とは

イジゲングループ株式会社
代表取締役社長・公認会計士 鍋島 佑輔(なべしま ゆうすけ) 様 


2010年有限責任監査法人トーマツ入所。上場企業の会計監査、IPO支援に従事後、デロイトトーマツベンチャーサポート株式会社のマネージャーとして九州地区を中心としたスタートアップ企業のハンズオン支援、大手企業のオープンイノベーション/新規事業開発支援及び官公庁のスタートアップ政策立案に従事。現在はイジゲングループ共同代表/BANSOU代表/PECOFREE取締役。

「可能性」を証明するため、公認会計士へ。

―現在のイジゲングループを立ち上げられる前には大手監査法人で勤務されていたとのことですが、もともと経営に興味をお持ちだったのでしょうか

初めて起業したのは大学生のときでした。それが私にとってビジネスのスタートになります。しかし、その事業は結局うまくいきませんでした。そのとき自分の中でビジネスを基礎から学び直し、周囲からの信用をしっかり取り付けないといけないということを身に染みて感じました。
事業をたたんだ時は、ちょうど大学4年生というタイミングだったので、時期は少し遅れたものの周りと同じく就職活動をし、コンサルティング業務を手掛ける会社に入社。転機になったのは、そこで行われた入社後研修でした。外部講師として招かれた公認会計士の方がビジネスについて詳しく話された内容がきっかけで、一気に公認会計士に興味を持つようになりました。それが22歳の時でしたね。それから間もなく当時の会社を辞め、公認会計士の資格取得に向けて勉強を始めました。


―ずいぶん思い切った行動でしたね

勉強を始めた動機としてはコンプレックスもあったんです。私はそれまでサッカー一筋の人間で、人に誇れるくらい勉強に打ち込んだという経験をしたことがありませんでした。自分では「本気で打ち込めば、できるはず」と思っていましたが、言い訳ばかりして、行動には移してこなかったんです。なので、挑戦してみようと思い、約3年ほど勉強を続けました。その結果、晴れて公認会計士の資格を取得し、自分の思い込みを証明できたのは、20代前半の自分にとって大きな成功体験だったかもしれません。
しかし同時に、私は公認会計士という資格取得がゴールだとは思っておらず、資格取得後に目を向けていました。「公認会計士」と「他分野」を掛け合わせていけば、きっと他にはいない面白い人材になれるはずだと考えていましたね。
ただ、そのためにもまずは監査法人で経験を積まなければと考えていました。というのも、会計士試験に合格しても、実際に資格を取得するためには3年ほどの実務が必要になるんです。実際に公認会計士に合格した方の多くは監査法人に入所するので、私もそのルートにならって、監査法人であるトーマツへの入所を決めました。


―なるほど。監査法人は多数あると思いますが、中でもトーマツを選ばれた理由はなんだったのでしょう

トーマツという組織は、2000年代~2010年代に大きく伸び、現在メガベンチャーと称されるような企業と仕事をしながら一緒に成長してきたところがあります。なので、いわゆる4大監査法人の中でももっともベンチャー気質がある組織だったんですね。私自身、もともとベンチャー志向であったこともあり、最終的にトーマツへの入所を決めました。
クライアントも超大手企業から成長中のベンチャー企業など、本当に多種多様でした。そうした会社の財務状況や内部統制などいわば会社のビジネス上のルールブックや、取締役会の議事録まで、企業のあらゆる情報にアクセスできるため、そこで学べたことは非常に大きかったです。
しかし、やりがいや面白さは感じていたものの、やはり監査法人で働き続けることは考えていませんでした。実務経験として必要となる3年という期間が過ぎれば、また別のキャリアへと考えていたんです。ただ、ありがたいことに当時の上司の方々が、いろいろなことを経験させてくれていたので、もう少し働いてみようと思い直しました。

トーマツという組織には様々なグループ会社があります。コンサルティング会社もあれば、フィナンシャリーアドバイザーの会社やタックスの会社があったりと、いろんなグループによって構成されているんです。海外では150ほどの拠点もあり、従業員も30万人ほどいます。そこにはいろんな人材がいて、想像以上にいろんなことができる環境でした。夢中になって働いていると、あっという間に3年が経過していました。
そんな時、社内ベンチャー立ち上げの話が来たんです。それがデロイト トーマツ ベンチャーサポートというスタートアップを支援する会社でした。そこから7,8年ほど、スタートアップ企業の事業支援を通じて、行政や大手企業、大学など、挑戦されている方々を巻き込みながら、新しい産業を作るという仕事をしていました。

「学生時代の自分が働きたいと思える会社」をつくる。

―その後、イジゲングループの立ち上げられたわけですが、そこにいたる経緯を教えてください

スタートアップ企業の事業支援の仕事はとても魅力的でしたし、この仕事を続けていたら、きっと楽しいだろうなとも思っていました。ただ、その一方でいろんな方々の挑戦をサポートする中で、また違った形でこういった挑戦者の人たちを支援できるのではという想いも芽生えるようになっていました。最後の後押しになったのはこの新型コロナウイルスの感染拡大です。これは絶対いろんなことが大きく変わるはずだ、という直感も手伝って会社を去ることに決めました。それで立ち上げたのがイジゲングループです。

ただ、企業を経営する理由として、挑戦したいという思いの他にあるのが、大学生時代に感じた想いです。大きく二つありますが、まずは先ほど申し上げた起業の経験です。当時は今ほどインターネットも発達していないため、当時の私のように起業をしたい大学生が情報を得ることは容易ではなく、ビジネスを支援する環境も今ほど充実していたわけではありませんでした。つまりビジネスを始めるにあたって、相談できる環境が整備されていなかったんです。その経験から、新しくビジネスにチャレンジする人たちにとっての良きサポーターになりたいという想いがずっとありました。

もう一つは、学生時代から地元である福岡で働きたいと考えていたことです。就職活動時、終身雇用が当たり前の環境だったこともあり、周囲には強い想いがないまま、とりあえず安定しているからという理由で有名企業に就職していく友人がたくさんいました。しかし私は、知名度や安定性だけで企業を選ぶことに強い違和感がありました。今振り返ると、もちろん素晴らしい企業もたくさんありますが、少なくとも当時の私の視野では、入社したいと思えるような企業を見つけることができませんでした。そこから個人的な裏の目標として、「学生時代の自分が働きたいと思える会社」をどれだけ生み出すことができるかということを考えていました。


―では、あらためてイジゲングループの事業について、そしてそこでの鍋島さんの役割について教えてください

私たちのミッションは、「あらゆる人のポテンシャルを最大化する」ことです。私たちは主にDXという領域でビジネスをしているため、デジタル技術やクリエイティブの力を使って顧客企業の事業強化や新規事業の立ち上げ支援、業務の効率化といった経営課題をグループで一気通貫で解決しており、それがすなわち「ポテンシャルを最大化する」ことであると考えています。
私自身は代表として組織のマネジメントを行いながら、全員がポテンシャルを発揮できるような仕組みづくりや事業開発に力を入れています。また、コンサルティングファームでの経験をもとに、案件の上流部分から携わり、顧客企業とともに伴走するケースもありますね。
他にも、私たちは顧客企業とともにジョイントベンチャーを設立し、共に成長を目指すといったことも行っています。たとえば「PECOFREE(ペコフリー)」という高校生や専門学校生向けのお弁当モバイルオーダーのサービスでは、お弁当の製造会社さんとスピンアウトのようなかたちでサービスを作っています。こうしたデジタル技術を用いたサービスを、主に非IT企業様と一緒になって作り、DX化を支援しているということも特長として挙げられるかと思います。


―なるほど。そうした新たな産業を創出するフィールドとして地方を選び、デジタル領域を通じて事業展開しようと考えたのはなぜでしょう

私も、共同代表を務める鶴岡もともに地方出身なんです。私は福岡、彼は大分の出身で二人とも地方に思い入れが強い。そのため少し月並みですが、地方を元気にしたいという想いから、この九州という場所をフィールドにしたいと考えました。
そして私たちの武器であるデジタル技術は、使いこなすことができれば生活や仕事を一気に豊かにしてくれるものです。そうした新たな技術を、地方の企業や業界にも広く根付かせることで、地方から新たな価値を創り出していきたいと考えています。

また近年は、地方自治体とともに地域で活動されている企業のDX支援を任せていただく機会も増えてきています。地方自治体にとっても、私たちにとっても新たな挑戦になるでしょうが、こうした貴重な機会を通じて成功事例を作ることで、「まち」という単位でデジタル化を推進して地域をより良くしていきたいと考えています。
こうした取り組みには前職での経験も活きています。デロイト トーマツ ベンチャーサポートでは行政とタッグを組んで企業の経営支援をする機会が多くあったのですが、そこで得た知見やネットワークから、先ほどのようなお話につながったところもありました。

今は本当にいい時代だと思います。昔はおそらく、組織を抜けてしまうと前職での関係は終わりということが多かった。しかし今は、その関係性が、組織ではなく個人に紐づくことも増えているのではないかと思います。そうした後押しもあり、若い方であっても新たなビジネスを生み出すことに挑戦しやすい環境ができつつあるのではないでしょうか。

(写真左)代表取締役会長 鶴岡 英明 様・(写真右)代表取締役社長 鍋島 佑輔 様

会社員/経営者は規模や役割の違いでしかない。

―これまでのキャリアを通じて大手組織とベンチャーを横断しながら働かれ、現在もベンチャー企業の代表を務められています。鍋島さんが考える大手企業の従業員とベンチャーやスタートアップで経営に携わることの違い、またはそこで求められるスキルの違いとは何でしょうか

あくまで私の経験に即して言えば、両者には意外に共通している部分も多いと思います。例えばデロイト トーマツ ベンチャーサポート時代、私は社内ベンチャーの立ち上げに携わっていました。そこでは立ち上げチーム自体が人事や予算編成についての一定の権限を持っていました。そういったオーナーシップを持って働く人にとっては、企業規模によって生じる違いというのは実はそんなに大きくないのではないかと思います。私自身、前職時代からそうした経営者意識を持ちながら働いてもいました。

また、大企業は規模が大きくなるほど、意思決定に多くの人が関わるため、どうしても社内政治的なものが発生してしまいがちなのに対して、ベンチャーやスタートアップは規模が小さい分、そうした社内調整が必要になる場面が少ないのが、違いといえば違いかもしれません。ただし、小さな会社で経営に関わる場合であったとしても、別の場面で配慮が必要になってきます。例えば私の場合は、二人で共同代表を務めているほか、複数名の取締役もいるため、経営判断は合議の上で決めることが多いです。加えて、当社は様々な投資家様から出資を受けていることもあり、株主の方に向けたご報告や承認依頼が必要になるケースも多くあります。会社を経営していると当然、利害関係者と直接関わる機会が多いため、結局そうした「政治」は、実は同じくらい、またはそれ以上にあるといえるかもしれません。

となると、もっとも異なるのはやはりお金や人でしょうか。前職時代のことを思い返すと、オーナーシップをもっていたといってもやはり会社員ですので、当然資金繰りを気にする必要もありませんでした。
また会社員は、例えば上司と部下という違いはあっても「社員」というカテゴリでは責任を負う範囲は大きく変わりませんが、経営者となれば当然、その責任を一挙に引き受けなければなりません。そうしたお金や人といった経営資源に責任を負いながら事業の運営や決断をしていかないといけないという点が、最も大きな違いと言えます。


―一般的にはベンチャーであるほど自由に働け、大企業だと思うように自分の裁量を発揮できないといったイメージもあると思いますが、思っているより違いがないというのは意外です

私自身の経験で言えば、大手企業でも裁量を持って働くことは十分可能だと思います。たとえば私は、前職では「仕事」がありませんでした。正確に言えば私のために割り当てられた仕事、というものがなかった。つまり、乱暴に言えば自分で仕事を作ってこい、というような環境だったんです。それは裏返すと、仕事を作るためには何をやってもよいということでもありました。極端に言えば、明確な理由があれば明日から海外に行ってきてもいい、というような感じです。
今の時代、自ら手を挙げて「自分にやらせてほしい」と言うことさえできれば、ベンチャーではなく大企業にいても、裁量を持って働くことはできるのではないでしょうか。新たな事業を作りたいと望む人たちも増え、同時に企業もそうした経営者意識を持った人材を育て、輩出させたいと考えているはず。そう考えると、このような事例は今後、もっと増えていくのだと思います。


―そうした新しい事業、ビジネスモデルを生み出すために必要な考え方を教えてください

まずは大量のインプットが必要だろうと思います。業界やテクノロジーのトレンドをキャッチアップすることはもちろん、社会背景を踏まえつつビジネスの深い現場勘をとらえることも事業を考える上では欠かせません。例えば先ほどの「PECOFREE(ペコフリー)」の例でいえば、お弁当の製造現場や学食関係の現場への深い知見がなければ生まれていないサービスだと考えています。なので、パっと出たアイデアがソリューションにつながるということは現実にはあまり起こりえないのではないかと思います。そのためにもやはり大量のインプットをした上で、その知識を他の領域とどう掛け合わせるか。そしてそうした努力を絶やさず続けられるか。それに応え続けていくことが、新しいビジネスを生みだすためには必要なのではないかと思います。

私たちは「あらゆる人のポテンシャルを最大化する」ことをミッションに掲げているので、その「あらゆる人」へのサポートを行うためには、私たちがあらゆる領域について知るようにする必要があります。また、私たちだけでは解決できないこともあるでしょうから、あらゆる人を仲間にしないといけない。「あらゆる人」と謳っている分、事業が広がる可能性は無限にあるともいえます。


―最後に、地域貢献や自身が感じた課題を解決するために起業や独立を志す20代に向けて、メッセージをいただけますか

私がいつも思うのは、好きなことに勝るものはないということです。ずっとやり続けたいことや解決したい課題、将来自分がどうありたいかなど、起業する背景にはいろんな想いがあると思いますが、まずは根本として「好き」という気持ちは欠かせないと思っています。好きなことが見つかると、仕事もずっと楽しくなると思いますし、そこから本当に自分が実現したいことも出てくるようになっていくと思います。
会社員/経営者といったポジションの違いに重きを置くよりも、自分が好きなこと、熱中できることを仕事につなげられると、「社会人人生」はより楽しくなるのではないかと思います。



イジゲングループ株式会社
2020
10月設立。「あらゆる人のポテンシャルを最大化する」というミッションを掲げ、企業のあらゆる課題にデジタル技術/クリエイティブを組み込みながらワンストップでサポート。また、ワンストップ型のDX支援事業「DXSTUDIO」にて、戦略立案から実行フェーズまで、新規事業の立ち上げや既存事業の強化、IT/DX人材育成など、4つの事業セグメントにより、企業・団体のDXを推進している。

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