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2022.04.20INTERVIEW

「働きやすさ」とは本質と向き合えること。サーバーワークスが実現する“働き方改革”

20代の働き方研究所 研究員 Y.S.
株式会社サーバーワークス
人事部 部長  太田 奈津希(おおた なつき)様


企業のICT化やDX化に加え、コロナ禍で一気に進んだテレワークなど、「働き方」はここ数年で大きく変化しています。今回お話を伺った太田さんは、「クラウドで、世界を、もっと、はたらきやすく」を企業ビジョンに掲げるサーバーワークスにて、様々な働き方に関わる改革を推進されています。太田さんのこれまでのご経歴や、サーバーワークスでの取り組みに加え、そもそも「働きやすさ」とは―。また、「働き方」が大きく変わる中、仕事で成果を上げるために必要な姿勢とは何かについて、お話いただきました。

 

子ども世代のために、働き方をもっと早く変えたい

―まずは太田さんの経歴と、サーバーワークスに入社された理由について教えてください

新卒では人材派遣の会社に入社し、キャリアコーディネーターとして求職者の方の相談を受け、その方にあったお仕事を紹介したり、就業された方のフォローをする仕事をしていました。

5~6年ほどその仕事を続けてきた中で、色々な人の相談に乗るうちに、キャリアコーディネーターの立場ではなかなか解決できない悩みがあることにもどかしさを感じるようになりました。その方が職場で何か悩みがあったとしても、派遣先の会社に伝えるだけで、自分で手を差し伸べることがなかなかできなかったからです。

もっと直接、働く人の悩みに働きかけるような仕事がしたいと、20代後半の時に広告代理店の人事担当に転職をしました。その会社では人事部が立ち上がったばかりで、上司と二人で採用・給与計算・勤怠管理システムの導入・労務・・・など、あらゆることを経験しましたね。立ち上げ当時は給与をパートさんがExcelで計算していたり、採用した社員の入社連絡が付箋紙で伝えられたりといった環境でした(笑)。

この会社には7年ほど在籍し、その間に2回の産休・育休も経験しました。その後、会社の業績が傾き会社都合で退職したのですが、ここでの経験を活かして次はSaaS系企業の人事部門の立ち上げに従事しました。

もともと管理部門にあった人事部を経営企画部門に移すことになり、経営の視点で人事戦略や組織づくり、社内制度づくりといったことを経験しました。私が入社したのがIPOの前年で、翌年にマザーズ、そして東証一部へと市場変更していく中での人事戦略でしたので、幅広いことを学ぶことができました。

ですが、代表交代のタイミングで方針が少し変わったことや、息子が1/2成人式を迎え、あと10年で成人を迎えると考えたときに、もっとスピードを上げて働く環境を良くして行かないと、子ども世代が社会人になったときに楽しく働くことが出来ないんじゃないかと思ったんです。そこで出会ったのがサーバーワークスでした。

―どのような点で入社を決めたのでしょうか

「クラウドで、世界を、もっと、はたらきやすく」というビジョンに共感できたことです。それまでは人事担当者として、1社1社、企業の働く環境を良くすることができたら少しずつ輪が広がって社会全体の働く環境が良くなるのではと思っていましたが、そのスピードや規模では10年で社会全体の働く環境を変えることは難しく、クラウドなどの技術を使ってもっと広くアプローチしたいと考えました。

そのころのサーバーワークスは上場したてのタイミングで、人事部も人手が足りない時期でした。前職ではIPOから市場変更という大きく会社が成長する時期に人事戦略の立案などを担っていましたが、「もっとこうすれば良かった」というやり残した思いもあったので、サーバーワークスでもっと色々なことに挑戦してみたいと思ったこともありましたね。

―お子さんの1/2成人式をきっかけに、もっとスピード感をもって働く環境を改善したいと考えたとのことですが、そもそも働く環境への問題意識をもつようになったきっかけは何だったのでしょうか

人事担当としてのキャリアでは、長く新卒採用に携わってきましたので、数多くの学生との出会いがありましたが、自分のやりたいことを成し遂げるという自信ある人が少ないと感じていましたし、中には「やりたいことなんて分からない」と言われたこともありました。

そうした経験があったので、「仕事は楽しく、働くことを通じて自己実現することができる」ということを共通認識にしたかったということが原点にあるように思います。

働き方を選択することで、自分らしく働く

―「クラウドで、世界を、もっと、はたらきやすく」というビジョンに共感されたとのことですが、サーバーワークスでの人事の仕事を通じて、社会にどんなアプローチをしたいと考えられたのでしょう

クラウドやIT技術をつかうことにより、単純な作業などではなく、お客様のことを考え、課題を解決するという本質的なところに注力できるようにしたいと考えました。クラウドやITを使うことは競争力を高めることに繋がります。会社としてのパフォーマンスが上がり、生産性が向上することで、社員一人ひとりがお客様により高い価値を提供することが出来るようになりますよね。

そしてお客様に高い価値を提供することが出来れば業績も上がっていきます。このような絵を描く当社の取り組みを成功事例としてお客様に紹介することが出来るようになれば、ビジョンを体現することができるようになると思いました。

お客様のためだけに自分の全ての時間を割くのではなく、就業時間の65%はお客様に、35%は自分自身のスキルアップや会社の環境を良くするための活動にしようというのがサーバーワークスの考えです。技術を高め、会社を良くする取り組みが、より65%の時間を濃いものにしていくと思っています。

―そんなサーバーワークスの人事部として、社員一人ひとりが仕事を楽しいと思えるように、具体的にどんなことに取り組まれているのでしょう

私が入社する前から社員発信で色々な制度や取り組みが生まれている文化が当社にはありますが、最近では働く上での選択肢を社員に提供する取り組みを行っています。

例えば働く場所。リモートの方が良い人もいれば、オフィスでワイワイ周りと話ながら働くのを良いと思う人もいるでしょうし、オフィスに出社しても一人で黙々と集中したいという人もいますよね。

また、エンジニアが仕事で使うデバイスも自分の好きなものを使えるようにしていますし、労働時間も裁量労働制やフレックスタイム制を社員のグレードに応じて導入して、家庭との両立を図れるようにしています。もちろん、それに必要な手当なども見直しました。

こうした取り組みは、単に労働時間を短くしようとか、休みを増やそうとか、そうしたことにフォーカスしてのことではありません。当社にはビジョンを実現するために4つの行動指針を定めていますが、その中の一つに「成果」という項目があります。今回の選択肢を社員に提供する取り組みも、成果を上げ、お客様のためになるためには、どのような働き方が最善かを考えた上で実施するというものです。

―ビジョンの達成のための行動指針が一人ひとりの社員に落とし込まれているのですね

行動指針はずっと前から当社にあるものですが、行動指針に照らしたコミュニケーションを日常的に実践しています。例えば、毎週月曜日の朝には「先週のMVP」の発表というものがあるのですが、ここでは4つの行動指針に基づいて優れた行動をした社員を表彰しています。その他にもSlackには行動指針のスタンプなどもあるんです。

こうして一人ひとりに指針の内容が落とし込まれ、評価基準ともなることで、これを軸にして働きやすさを追求出来るようになっています。

―そうした人を仲間にしたり、育成するために選考や研修で何か工夫をされているのでしょうか

はい。新卒採用では面接官の評価シートにも4つの行動指針に基づいて評価をするにしています。入社後にもそれに基づいて力を発揮することが出来るのか、再現性を大事にしていますね。もちろん、学生時代の取り組みなどもしっかり聞くようにしています。

また、中途採用でもカルチャーマッチは大事にしているポイントです。面接官は当社のカルチャーを非常に大事にしていますので、応募者の方と乖離がないかはきちんと見極めるようにしています。

研修・育成制度については、新卒1年目以外はプログラム化した研修は実施していません。一人ひとりのオーナーシップを大事にしており、自主性を重んじています。そのため、例えば他部署の誰も手を付けていないような仕事に挑戦したいと手を挙げた社員がいたとしても、それを止めるようなことはしません。マネージャーが成長のキャップにならないようにすることを重要視しています。
 
 

自分の中の違和感を大事にし、発信力を磨く

―一人ひとりのオーナーシップを大事にされ、画一的な研修を実施しないというのは印象的です。自主性を養うためにはどのような意識や姿勢が大事になるのでしょう

あくまで個人的な意見ですが、「好きなこと」や「こうなりたいという憧れ」があれば、苦しいことがあったとしても仕事を頑張ることはできますよね。ですので、まずはそうしたものを見つけてほしいと思っています。

ただ、なかなか好きなことを見つけることができないこともあると思います。そうした時には自分の中にある「違和感」を大事にしてほしいと思っています。日常生活や、仕事をする上で「これはおかしいんじゃないか」と思う場面もあると思いますが、もしかしたらその違和感は他の人にも共通のことかもしれません。

そして、その違和感というのは元をたどっていくと、「こうあって欲しいけど、実態はそうではない」ということに繋がってきて、それが何故嫌だと感じるのかをたどっていけば、自分が大事にしたいことが見えてくると思います。

感覚的にやり過ごさず、何でそう思うのかということを言語化してみることで、他の場面でも応用出来ると思います。

―4つの行動指針にも「成果」とあるように、これからはどこで、どんな働き方であっても成果が求められるようになると思います。自主性に加え、さらにどんなことが必要になりますか

リモートでも、出社でも、まず意識してほしいことは、自分から発信することにハードルを感じないで欲しいということです。例えば、仕事の中で3時間悩んでも解決できないことがあったとして、でも先輩に聞いたら数分で解決できることって、よくあることだと思うんです。

だからこそ、当社では質問することを歓迎していますし、先輩には「そんなこと検索しろよ」なんてことは絶対に言わないで欲しいと伝えています。若手でもどんどん質問や意見を発信しやすくしているんです。

最近では社内SNSを導入している企業も多くなっていますが、当社もSlack上で「Ask Me Anything」という、何でも聞いて良いチャンネルというのを開設して、日々、コミュニケーションを取りやすくしています。誰かが投稿すると、顔を合わせたことのない他部署の人でも回答してくれるようなチャンネルなんです。

こうした取り組みを通じて、質問をしたら答えてくれるという体験を積んでほしいと思っていますし、特にリモート環境では自分の疑問を言語化して積極的に相手に聞いていくことが大事になるので、その練習にしてほしいと思っています。

―どんな質問でも答えてくれるというのはユニークな取り組みですね

そうかもしれませんね。「半年前にクローズしたこのサービスについて詳細を教えてください」といった業務に関わることから、「Slackのグループ名称の作り方ってどうやるの?」といったちょっとした質問もありますね。中には「今日の夕飯どうしよう」なんていうものもあります(笑)。「足が寒いんですけど・・・」という投稿には「ワークマンのスウェット風電熱パンツがオススメ」なんていう返答もありました(笑)。

―ここまでお話いただき有難うございました。最後に、自分らしい働き方をしたいと考える読者の方に向けて、ユニークな取り組みを推進してきた太田さんからメッセージをいただけますか

繰り返しになってしまいますが、好きなことが見つからないのであれば、違和感を覚えることが何かをまずは見つけていくことが大事になると思います。そして、その違和感を我慢し続けることはありません。例えば、働き方についての違和感であれば、「うちの会社じゃ無理だから・・・」と諦めるのではなく、まずは声を上げてみてください。声を上げたら変わるかもしれませんよね。

もし、今の仕事は好きなのに働き方の面で転職を考えなければならないというのなら、そんなもったいないことはありません。自分らしく働くためには、まずは自ら行動してみることだと思います。周りの人を巻き込んだって良いんです。

難しいと思うかもしれませんし、勇気も多少は必要となるかもしれませんが、意外と誰でもできるものです。自分らしい働き方を実現するために、違和感のあることを見つけ、一歩踏み出してみてはどうでしょうか。
 
 








株式会社サーバーワークス
2000年2月設立。AWS(Amazon Web Services)に特化したインテグレーション事業とサービスの提供を行っているクラウドインテグレータ。東日本大震災の際に過負荷でダウンした日本赤十字社のウェブサイトをAWSで復旧させ、義援金を集めるシステムを48時間で構築した他、2014年には日本初のAWS Partner Network(APN)のマネージドサービスプロバイダー コンピテンシーを取得。さらに、AWSコンサルティングパートナーの最上位であるAPNプレミアコンサルティングパートナーに選出。「クラウドで、世界を、もっと、はたらきやすく」という企業ビジョンを体現するため、様々な働き方・働きやすさを実験・検証する。Great Place to Work(R) Institute Japanが選出する「2022年版『働きがいのある会社』ランキング」のベストカンパニーに5年連続で選出。
 

この記事を書いた人

20代の働き方研究所 研究員 Y.S.

1991年12月生まれ。
新卒で大手新聞社に入社。記者として取材・記事の執筆を経験後、Webサービスを手掛ける企業に転職。約20名のメンバーのマネジメントの傍ら、Webサイトの開発・サイトの集客プロモーション・取材やライティングを幅広く担当。20代の働き方研究所では、企業へのインタビュー取材・取材記事執筆を担っている。
#カスタマーサクセス #コンテンツディレクション #イベントプロモーション #仕事終わりの晩酌が日課

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