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2022.12.07INTERVIEW

大手グループ会社からスタートアップ企業、 SIerから事業会社へ。異彩なキャリアで転身を遂げた20代の仕事観とは

20代の働き方研究所 研究員 T.I.
ACALL株式会社
増川 孔明(ますかわ こうめい)様


人々の「くらし」と「はたらく」を自由にデザインできる世界の実現をビジョンに掲げ、「WorkstyleOS」を開発・提供するACALL株式会社。様々なワークスペースにおける体験を、AI/IoTを使って自動化・ファシリテート・レコメンド化することで、オフィスワークとリモートワークのベストミックスを目指されています。
今回お話を伺ったのは、同社でバックエンドエンジニアとして活躍されている増川さん。前職では基幹システムの開発保守から新機能の開発へと領域を広げ、次のステージとして事業会社を選択。現在は、私たちの身近にある「くらし」と「はたらく」に関わる開発を行っています。大手グループ会社からスタートアップの事業会社へ転職された増川さんのご経験と考え方から、自身の領域を広げ、希望のキャリアを実現するために最適な環境を選び取る方法を探りました。

 

「家にパソコンがなかった」がきっかけでIT業界へ


—まずは増川さんのご経歴からお伺いします。新卒で入社先に大手SIerのグループ会社を選んだ理由を教えてください

面接時の社員の方々の人柄に惹かれたという点もあったのですが、それ以外に理由が大きく3点あります。1点目が、研修制度が充実していることでした。ビジネス研修から始まり、のちにシステム研修、OJTへとステップアップ。最終的には1年間でシステムを運用できるようになれるほど、手厚く育ててくれる環境だったのです。

2点目が、大手SIerのグループ会社でしたが、システム開発の流れが横並びであった点です。前職の環境は上流工程である設計から、開発、システムの運用・保守まで、一連の流れをすべて経験できるような職場でした。

そして3点目に、様々な仕事を通じて幅広い経験を積みたいと考えたことでした。大手企業は一つ一つの作業が細分化されており、経験できることが限定的だというイメージがありましたが、グループ会社であれば色々な仕事にチャレンジできると思ったのです。

—学生時代からIT関連を専攻されていたのでしょうか

工業高校で情報技術を学んでいたので、大学でも情報系の学部に進みました。ハードウェア関連について学んでいましたが、就職活動ではソフトウェア会社を希望し、色々な工程を経験できるような企業を探しましたね。

—増川さんがITに興味を持ったきっかけが気になります

ITに興味をもったのは中学生の頃です。当時、友人みんながパソコンに詳しかったのですが、私の家にはパソコンがなく、羨ましく思っていました。それならパソコンやITについて学べる学校に進学すれば良いじゃないかと思い、工業高校を選んだという背景です。
それに、中学生の時点では特にやりたいことがあったわけではなかったので、学ぶ内容が絞られている高校にしようという気持ちもありました。

—前職ではどのようなお仕事をされていたのでしょうか

約5年間の在籍期間で3つのシステムのプロジェクトに関わりました。最初の2つは保守業務を担当していましたが、5年目には新規システムの開発業務に関わる機会にも恵まれました。一つのプロジェクトに数十名がかかわり、連携が必要な職場でしたので必然的にコミュニケーションをとる量も多く、たくさんの人と関わる中で色々な学びがありましたね。

—入社時の希望通り色々な経験を積まれたと思いますが、その中で特にやりがいを感じていた部分はどういった点でしょうか

一つのものを何十人もの人が集まって作るというのは難しいことです。だからこそ、達成した時にはチーム全体で喜びを分かち合うことができて、やりがいを感じていました。達成を祝したチームのみんなでの飲み会はいい思い出です。

納期間近や、急を要する際には残業もありました。ただ私は20代のうちになるべく多くのことを学びたいと考えていたので、残業することを苦痛に感じることはなく、むしろやりがいを感じていました。実際に色々な事を学べたので、現在の自分を形作るうえで非常にためになったと感じています。


 

「ユーザー視点」で品質にこだわった開発を


—多くのことを学べ、やりがいも感じておられたとのことですが、事業会社に転職しようと思ったのはなぜでしょうか

SIerはクライアントからの発注を受けてシステムを開発・運用していくため、まず納期と予算が決まっています。その後、品質について考えるという流れになるので、納期と予算と品質のバランスを調整することが非常に難しいと感じていました。

一方で、事業会社は自社のプロダクトで勝負をしなければなりません。そのため品質の担保が第一となり、納期や予算をそのあとに考えるというイメージを持っていました。前職での経験から、品質の部分もきちんと考えてみたいと思うようになったので、事業会社への転職を考えるようになったのです。

—事業会社の開発職以外の道は考えなかったのでしょうか

実は以前にも転職活動をしていて、その時はITコンサルタントも見ていました。クライアントの課題発見や要件定義といった上流工程を担当するコンサルタントにも魅力がありましたし、事業会社で開発者としての道を歩むことにも魅かれていました。そんな意思があやふやな状態での転職活動だったので、選考をなかなか通過することができなかったのです。

そこから自分を見つめなおした結果、自分が楽しいと感じるのは開発なんだと気づきました。コンサルタントは間接的に開発に関わることはできますが、コーディングなど実際に手を動かして何かを開発する、ということはできません。そこで、開発に携わることができる事業会社に絞って転職活動し、ACALLに出会いました。


—どうしてACALLを選んだのでしょうか

品質にこだわることができるという点では、どこの事業会社もそう変わりません。その中でもACALLを選んだのは、手掛けるシステムやサービスが面白いと感じたからです。例えばACALLが提供する「WorkstyleOS」は、リモートワークの普及により仕事とプライベートの境目が曖昧になる中、そういった新しい働き方を自由にデザインできるようにと開発されたものです。私も前職からリモートワークに慣れ親しんでいるので、身近なものについて考えながら新しいものをつくるというのが大変魅力的でした。

また、事業会社の多くはBtoBのビジネスを展開することが多い中、たしかにACALLもBtoBビジネスではありつつ、自社製品を自社でも使用しています。「WorkstyleOS」を実際に使ってみて、気づいた改善点に自らの手でアプローチができること、つまり、ユーザー視点を常に持ちながら開発できる環境であることに、大変魅力を感じました。

ACALLは現在、60名程度の社員数で成長途中です。開発過程で裁量権を持つことができ、自身の成長に繋げることができるという点も、ACALLに入社を決めた理由の1つです。


—SIerから事業会社へ、そして大手グループ企業からスタートアップへの転職です。働く環境もガラッと変わりましたよね

フルリモートでの働き方は前職と同様ですが、フルフレックスという働き方が徹底されていて、個人に働き方や働く時間が委ねられていることにすごく驚きました。月間の所定労働時間をクリアすれば、その他の時間の使い方は個人の裁量に任されています。例えば、お昼に歯医者に行きたい場合は、朝に1時間早く仕事を始めたり、別の日に1時間多く働く、ということもできます。誰かとランチに行くためにお昼の2時間は空ける、といったことも可能ですね。フルフレックスのおかげで私生活が充実していると感じています。

―会社の文化の違いについてはどうでしょう

文化も全然違います。私はいまだに前職の「石橋を叩いて渡る」ような慎重な考え方が染みついているのですが、ACALLにはこのような文化はありません。逆に「良いと思ったらまずはやってみよう!」という雰囲気がありますね。主体的に動くことを歓迎してくれる会社なので、これからどんどん前のめりになって、様々なことに挑戦できるようになっていきたいと思います。

—現在ITエンジニアとして働いていて転職を考えている方に向けて、スタートアップへの転職の魅力を教えてください

転職の際、比較的新しい、流行りの技術を使っている企業を探しました。具体的には、ACALLでも使われているバックエンドの技術であるGo(ゴー)という言語と、個人的に興味を持っていたRust(ラスト)という言語を使っている企業です。

というのも、流行りの技術を使っている方は、一緒に仕事をしたときに技術の話をたくさんできるんですよね。流行りの技術を学ぶには、まだ書籍にもなっていない場合も多いので、自分で情報を収集する必要があり、開発者同士の情報交換も活発になるんです。そして自ら情報収集できる人というのは、開発や技術が好きな人。そういう人たちが集まる場所こそ、スタートアップの企業なのです。

—転職の際、迷いや不安はありませんでしたか

苦労するだろうな、とは思っていましたが、迷いはありませんでした。転職について考えていた時、スタートアップへの転職に関する記事を色々読みましたが、歳を重ねるごとにスタートアップへの転職は難しくなっていくという印象を受けました。20代のうちに挑戦しないと、挑戦しなかったことを後悔するだろうなと思ったので、迷いはなかったです。

私はシステム開発に関する苦労はそこまで苦労と感じません。いろんなことを知れるという点で魅力的にすら感じるので、これから待ち受けているであろう苦労も、むしろ楽しみです(笑)。

—増川さんのように、スタートアップへ転職するのはどのような方が向いていると思いますか

誰かの許可を得てから動くのではなく、自分で動いてみて「ごめん、やっちゃった」と言える人に向いていると思います。大企業などでは何をやるにも誰かの許可が必要である場合が多いですが、スタートアップには、まずは動いてみるというような前のめりなタイプが多いですね。


 

自分にとっての「正解」を選び取るために

—増川さんのように、希望を実現できるような環境を見つけ、選び取るためには何が必要でしょうか

まずは今働いている場所で、関わっている方々をリスペクトすることです。これは全ての人の言うことを受け入れろということではなく、誰もが持つ良い部分に目を向けて取り入れていく姿勢を大切にした方が良いということです。そうすることで自身の成長に繋げられるだけでなく、人間関係も良好に保つことに繋がります。

あとは業務外でも貪欲に知識を仕入れて、どんな仕事でも納得のいく成果を残すことでしょうか。今の仕事、職場に真剣に向き合ってみた先に、キャリアにおいて本当に自分が求めていることが何なのか見えてくると思います。

—希望を実現する以前に、どんな状態が自分の希望なのか見いだせない人もいるかもしれません。そんな悩みを持つ方はどうしたらいいでしょう

私自身も悩める20代の1人です。何か悩み事にぶち当たったとき、私はとにかく納得のいく結論がでるまで悩み続けることにしています。頭が痛くなるほど考える日を年に何回か作って、そこであらかた1年の計画を立て、そこから後ろは向きません。まずはやってみて、半年後や1年後に初めて振り返ってみる。その結果ダメだった部分は変えて、よかったことは継続すればいいと考えています。その時の自分にしかわからないことや決断できないことがありますからね。

私の例で言うと、去年は自己学習を毎日の習慣にする計画を立てました。つい先週その1年が終わり、振り返ってみると、書籍を多数読んだので、計画通り知識をたくさんインプットできたのですが、アウトプットが少なかったことに気づいたのです。なので今年は、エンジニアとして何かを創り出すことを目標にしています。もちろん、創るために必要な知識は日々インプットを続けながらですが。

もし頭が痛くなるまで考えても結論が出ないなら、小さく始めてみることをおすすめします。始めてみて、しっくりこなければ早々に見切りをつけ、また違うことを始めてみる。これを繰り返していく中で、続いていることがあれば、それこそ今の自分が真にやりたいことなのではないでしょうか。

20代は一番何も持っていなくて、失敗しても大きな傷にはならない時期です。こうだと決めたのなら、若いうちに突っ走ってみたほうがいいですね。


 
ACALL株式会社

2010年10月創業。ハイブリッドワークにおけるオフィスとリモートの課題を解決するSaaS「WorkstyleOS」を2020年5月にリリースし、導入企業は6000社以上。ビジョンとして「Life in Work and Work in Life for Happiness」を掲げ、「くらし」と「はたらく」をセットでとらえることで、時間や場所に制限されすぎない、新しい働き方を世の中に提案している。
 

この記事を書いた人

20代の働き方研究所 研究員 T.I.

1995年5月生まれ。
新卒で食料品小売会社に入社。しかし小説家を目指して執筆活動を行っていた経験から、言葉でもっと人を惹きつける仕事がしたくなり一念発起。クリエイターとして就職情報会社に転職。以降、様々な業界の採用サイトやパンフレットの制作に携わる。20代の働き方研究所では記事執筆を担当。趣味はコーヒー豆の焙煎とラテアート。

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