20代の「働く」に
もっと自由な選択を

この記事をシェアする

  • SPECIAL
  • INTERVIEW
  • ゼロから広報部門を立ち上げた20代は何を考え、行動したのか。若手にも大きな裁量権が与えられる環境の魅力に迫る
  • SPECIAL
  • INTERVIEW
  • ゼロから広報部門を立ち上げた20代は何を考え、行動したのか。若手にも大きな裁量権が与えられる環境の魅力に迫る
2023.05.10INTERVIEW

ゼロから広報部門を立ち上げた20代は何を考え、行動したのか。若手にも大きな裁量権が与えられる環境の魅力に迫る

20代の働き方研究所 研究員 T.I.
株式会社アシロ
管理本部経営企画部 広報・PRリーダー
森川 遊哉(もりかわ ゆうや)様


就職先や転職先を探す際には、どの程度の裁量権が与えられるかがポイントになるという方も多いのではないでしょうか。今回お話を伺ったのは、株式会社アシロで広報・PRリーダーを務める森川 遊哉(もりかわ ゆうや)さん。新卒では大手PR会社に入社し、4年でマネージャーになるという目標を達成したことを契機にキャリアチェンジ。インターネット上で法律情報や弁護士情報を提供するアシロへ「弁護士ナビ」のPR担当として入社したのち、より全社的なPRを行うべく、広報部門をゼロから立ち上げました。20代にも大きな裁量が与えられる環境の魅力とは、そして部署の立ち上げに際した20代がどのようなことを考え、行動してきたのか、森川さんのお話から紐解いていきます。

社会から必要とされ続けるために

​​​​​​―新卒で大手PR会社に入社され、現在はアシロで広報部門の立ち上げをご経験されています。そこには、当初からPRへの熱い思いがあったのでしょうか

実を言うとそんなことはありません。就職活動の際に私が重視していたのは、この先需要が尽きることのない仕事であること、そして一生必要とされるスキルを身につけることができることでした。今後どんな仕事が生き残るのか考えたとき、真っ先に思い浮かんだのが、人が存在する限り必要とされる人材業界、そして経済活動が行われる限り存在し続けるPR業界だったのです。

就職活動を行う中で特に難しいと感じたのが自己PR。独自の自己PRを作るために、真剣にゆで卵の研究をしたこともあります。何分でどれくらいの固さになるのか、温度は何度が最適なのかなどを検証し、「一つのことを突き詰めることができる性格」というアピールに繋げました。

新卒で入社した企業の内定者研修で「初めてのPR商材は自分」というテーマの下、3分間自分をプレゼンする機会があり、その際もゆで卵の話を絡めてプレゼンをしました。ゆで卵という一見とりとめもない研究ですが、一個のトピックをきっかけに広げていく、というのはPRにおいても大切な考え方です。このような自分の発想を好意的に受け止めてくれるこの企業なら、そしてPR業界なら、自分も活躍できるのではと考え、PR業界をファーストキャリアに選択しました。

―そして入社後、PRにのめりこんでいくんですね

当初はPRに対する知識も乏しく、理想や計画も持てていなかったのですが、だからこそまっすぐにPRと向き合うことができたと思います。

配属された部署にて、最年少でマネージャーになった方が入社4年目だったのですが、世の中で必要とされ続ける力を身につけるためには、その記録を超えるつもりで成長し続けていかなければならないとも考えていました。当時の上司に言われた「この世に存在するPRに関する本をすべて読め」という言葉に従って愚直に本を読み漁っていたのは、同期の中でも私だけだったと思います(笑)。

失敗をポジティブに受け入れる社風の中で

―実際に4年目でマネージャーに昇進され、目標達成を契機にアシロへ転職されています。アシロを転職先に選んだ決め手はどういった点だったのでしょうか。

新卒で入社した企業は大きな会社なので、将来の安定性から考えても申し分ありませんでした。一方、業務では自分の力やアイデアで勝負をしているというより、社名のブランド力での勝負になることが少なくありません。ブランドという武器を手放し、自分の力で何かを作り上げる経験を積みたいと考えての転職活動でした。

転職活動の中で出会ったアシロは「弁護士ナビ」というリーガルメディアのPR担当を募集していました。これまでPRの担当がいなかった環境で一からPRに携われるということで、自分でゼロから何かを創り上げることができる点に魅力を感じて、入社を決めました。

アシロに入社してとにかく驚いたのが、個人のやりたいことに対する後押しがすごいという点です。私自身、入社してから1年半の間に3回部署が変わりましたし、「やりたいです」と手を挙げた翌々日には部署が変わっている、なんてこともザラです。やりたいことがある人、オーナーシップを持ってどんどん進みたい人にはとてもいい環境ですね。そんな環境のおかげもあって、アシロには前向きで明るい人が多く、失敗して落ち込むような人はいません。社長もよく「失敗しろ」と言っていて、成功への道筋として失敗をポジティブに受け入れる文化が根付いています。


株式会社アシロには社長の想いを形にした7つの行動指針があり、それぞれが会議室の名前にもなっています。

―転職にあたって、不安や迷いはありませんでしたか

無いと言えば嘘になります。前職場から転職する人はメガベンチャーや日系最大手といった大きな企業へ行くケースが大半で、私のように上場したてで知名度がまだまだ高くない企業に行くケースは多くありません。社名というブランドを手放してまで行く必要があるのかという迷いがありました。しかし、その迷いを超えるぐらい、自分のやりたいことができるという点に魅力を感じましたし、自分のキャリアという視点からもゼロから何かを創る環境にいた方がいいのではと考え、迷いを断ち切りました。

不安は入社してから感じることの方が多かったですね。アシロにはこれまでPR担当がいなかったので、私がGOと言えば、会社としてGOと言ったことになります。自分の発言一つが会社に大きく影響を及ぼしてしまうので、裁量の大きい仕事にワクワクしつつも、慎重な判断を心がける必要がありました。

―企業を支援するPR会社から、事業会社への転職です。ギャップを感じることも多かったのではないでしょうか

入社当時のアシロはPRというものがまったく根付いていない組織だったので、まずPRというものについて理解してもらう必要があった点が一番のギャップでした。初めは言葉で説明していましたが要領を得ず、プレスリリースやニュースレターなど、形にしたものを作って見せた方が早いと気づいてからは、比較的すんなりと理解してもらえるようになったと感じています。

実際、自社や自社のサービスがメディアに出ると、社内の方々は「うちの会社ってメディアに出るんだ」と喜んでいただけるケースが増え、PRに関してポジティブな流れを作ることができます。まずはしっかりとPRについて理解してもらい、PRに対してポジティブな雰囲気を創るためにも、とにかく目に見えるものを作っていくということを意識していました。

アシロの意思決定のスピードにもいい意味でギャップを感じましたね。私が部署の立ち上げを行った時もそうでしたが、その日のうちに決定しすぐに行動に移す、という流れがアシロ全体に根付いています。

前職ではPRの支援会社として、クライアントのPR活動を支援していたので、クライアントと調整をしたり、クライアントの意思決定を待ったりと、施策の立案~実施まで一定の期間が必要でした。アシロでは自社のPR担当として業務を行っているので、施策の良し悪しを自分で判断しすぐに実行に移すことができます。

前職で培った「他者への想像力」を組織開発に役立てる

―そして「弁護士ナビ」のサービスPR担当から、より全社的なPRを行う広報部門を立ち上げたんですよね

私自身の活動の幅を広げていきたいという思いもありますが、アシロの規模感的にもPRを「弁護士ナビ」だけに留めておくのは適切ではないという考えの下、管理部門にPRの機能を移し、全社的なPRを行うことができる体制を創り始めました。

全社となると、社長をはじめとした経営層の協力が不可欠です。協力を得るためには、サービス認知の拡大だけでなく、企業の認知度・ブランド力アップにも寄与していく必要があります。たとえば、PRを強化することで採用にもプラスの影響をもたらすなど、企業活動全体に貢献することを経営層と約束し、広報部門としての地位を確立させました。

―これまでキャリアを築いて来られた中で、一貫している価値感や考え方があれば教えてください

PRについて考える上で、この情報を受け取った人はどういう印象を受けるのか、第三者からはどのように見えるのか意識する必要があります。この「他者への想像力」は、対外的なPRに限らず、社内へのコミュニケーションにおいても役に立ちます。


例えば近ごろ広報・PRで推進、強化している組織開発は、既存の制度を新しいものに変えていくアクションです。組織をより良くするために行うこととはいえ、既存の制度に慣れていた人には歓迎されないこともあり、新しい制度で恩恵を受ける人達との対立を生みかねません。

この対立を生まないためにも「他者への想像力」は有用です。それぞれの立場の人たちがどう感じるかを考えて、新しい制度について説明の仕方を変えることで、多くの方に自分にとって必要なことだと捉えてもらうことができ、改善や制度改革をスムーズに行うことができるのです。

―アシロの広報責任者として、どんなビジョンをお持ちでしょうか

対外的なPRという面に関しては、順調に成果をあげられるようになってきたので、今後は社内の体制を強化していきたいと考えています。最近では、組織にナレッジが蓄積されておらず、実力者が辞めてしまうとその部分がぽっかり空き、組織全体として弱くなるといった課題に焦点を当てています。組織にナレッジを蓄積させることができるように、メンバーを集めてチームを作り、新たな取組を考えるところから始めています。

私自身のキャリア形成の面で考えると、PRに強いこだわりがあるわけではありません。サービスのPRから全社の広報責任者になったことで組織について考えることも増えたので、人事領域や組織開発、人材開発のような組織をより良くするポジションも視野に入れていきたいですね。

―本日は貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。最後に、20代の読者に向けたメッセージとして、森川さんのように、自分自身のキャリアを自らの手で選び取っていくためには何が必要なのか教えてください

とにかく情報に触れること、インプットを欠かさないことです。私自身、PRについて全く知らない中でPR会社に入社し、PRに触れてみることで面白いと感じて今に至ります。またアシロに入社してから部署の立ち上げなど、様々な業務を行う中で、今まで全く知らなかった分野や業務についても興味が沸いています。

必ずしも、「勉強」という意識でインプットを行う必要はありません、日々の業務や街中を歩いているとき、目に留まった情報をキャッチアップして、インプットしていく。そうして蓄えた知識を元にアウトプットとしてキャリアを選択すれば、自分の望む未来が待っているはずです。

「20代の経験が今後の人生のすべてを左右する」という先輩の言葉は今でも大切にしています。20代の経験を30代で活用し、40代で深めていく。そして50代では、それを使って勝負をするというビジョンで、とにかく多くの経験を積むことを意識しています。

20代のうちなら、失敗してもいくらでも取り戻せます。アシロの文化にもあるように、とにかく失敗を恐れずに挑戦しつづけて欲しいと思います。

 


株式会社アシロ
2009年11月創業。インターネット上で法律情報や弁護士情報等を提供する「リーガルメディア関連事業」と、弁護士有資格者の人材紹介サービスを提供する「HR事業」を展開。2022年10月には管理部門分野に特化した転職支援サイト「BEET AGENT」をローンチするなど、圧倒的な意思決定速度と行動力で、より良い社会の実現に向けた事業拡大も積極的に行っている。
 

この記事を書いた人

20代の働き方研究所 研究員 T.I.

1995年5月生まれ。
新卒で食料品小売会社に入社。しかし小説家を目指して執筆活動を行っていた経験から、言葉でもっと人を惹きつける仕事がしたくなり一念発起。クリエイターとして就職情報会社に転職。以降、様々な業界の採用サイトやパンフレットの制作に携わる。20代の働き方研究所では記事執筆を担当。趣味はコーヒー豆の焙煎とラテアート。

#プランニング #コピーライティング #メタバース #水よりコーヒー

この記事をシェアする