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2023.09.13INTERVIEW

もっと人の役に立てる人材になりたいと、第二新卒で転職。「人の人生に関わる仕事」に奮闘する20代に聞く、希望するキャリアの描き方

20代の働き方研究所 研究員 T.I.

チューリッヒ生命保険株式会社
お客様サービス部 兼 ダイバーシティ推進室
梶 朱里(かじ あかり)さん


今回お話を伺った梶さんは、生命保険業界の「お客様の哀しみや喜びなど、様々な感情に寄り添い、お客様とその大切な方々の人生を守り抜く」という存在意義に共感し、新卒で大手生命保険会社に総合職として入社。その後、やりたいことが実現できる環境を求めて、約1年半後に第二新卒でチューリッヒ生命保険に転職されました。現在は、デジタル・業務企画・D&Iの3つの領域にまたがる仕事に従事されています。希望通りのキャリアチェンジを叶えた梶さんに、転職当時の想いや、現在の仕事を通じて実現したいことを伺いました。

人の人生と密接に関わる仕事を

―これまでのご経歴と、生命保険業界を志望した理由を教えてください

就職活動中、人の人生に密接に関わる業界であること、且つ比較的長期にわたってお客様に関わることのできる業種であることを重要視していました。さらにもう一つ、人種や資産の多寡によってターゲットを選ばない事業を展開しているかも外せない条件でした。そこで志望したのが金融業界。中でも生命保険会社を志望したのは、人の命に直接関わることができる仕事だからです。保険にもたくさんの種類がありますが、例えば損害保険の領域では、自動車や住まいなどを購入された方を中心に展開するサービスが主軸となります。誰もが平等に持っている命に焦点を当てた生命保険は、自分が重視する条件によりマッチすると考えたのです。

生命保険会社は業界を通して、「お客様の哀しみや喜びなど、様々な感情に寄り添い、お客様とその大切な方々の人生を守り抜く」という存在意義のもと、運営されています。そして、「保険」というと金銭的な保障に目が行きがちですが、普段から健康を増進するといった、より良い人生の実現に貢献する役割があることにも共感し、生命保険会社を選択しました。

―なぜ、人の人生に関わる業界であることを重視されたのでしょうか

生い立ちや学生時代に学んでいたことが背景にあります。小学生の頃、生まれつき難聴の友人との出会いがありました。学力があり、思慮深く、才能に溢れているのに、ハンディキャップがゆえに苦労する姿をそばで見てきました。

大学はハンディキャップに関係なく進学できるところも増えてきていますが、そこに至るまでの教育現場がハンディキャップフレンドリーでないために、将来を諦めなければならない姿を目の当たりにしたのです。学力や才能が、当人にはどうすることもできない理由によって潰れていくことに言い知れぬ気持ちを抱きました。この経験から、大学ではハンディキャップを持っている方やご年配の方、シングルマザー・ファザーなど、生きづらさを感じている方々を取り巻く法律や人権について学びました。

―そして、ファーストキャリアでは大手の生命保険会社に総合職として入社されたんですよね

私にとって、研修制度が充実している点や大きな傘に守られながら働くことができる点は大手企業の大きな魅力の一つでした。一方で、仕事の全体像が見えづらく、長い目でキャリアを考えた時に、特定の領域の専門性を高めることはできるものの、幅広い業務を経験できる機会は多くないのではないかと感じるようになりました。

また、保守的な風潮の強い社内では、業務改善の相談を上司に持ち掛けても、異端児のような扱いを受けてしまうこともありました。こうした環境の中で、自分のやりたいことを実現できるか不安になり、転職を決めたのです。

転職活動で気づいた、自分の立場

―入社3年未満で転職することに、迷いや不安はなかったのでしょうか

転職にあたって周囲に相談しましたが、「会社とはそういうものだ」「最低3年は勤めないと何もわからないよ」と言われることが度々ありました。「忍耐が足りないんじゃないか」と意見をいただいたこともあります。

それでも転職の意思を固めたのは、転職活動中に面接官から投げかけられた「今までの仕事上で、一番の失敗を教えてください」という質問がきっかけでした。当時、私は答えることができませんでした。

自ら何かに挑戦し、成功あるいは失敗する経験をしてこなかったことに気づかされました。前職ではあらゆる業務が画一化され、営業社員が送るメール一つとってもテンプレートがありました。他の社会人が当然のようにやっている業務ができないことを痛感し、成長するためには様々なことに挑戦していく必要があると感じました。

当時は同世代の社会人と比べて基礎的な部分が劣っているという自覚があったので、第二新卒でもしっかりとしたサポート体制があることを重要視していました。少数精鋭でじっくりとOJTを受けられることも、チューリッヒ生命への入社を決めた理由のひとつです。

―現在はどんなお仕事をされているのでしょうか

入社当初は、事務職としてお客様の氏名変更や解約手続きなどの保全業務に従事しながら、基本的なPCスキルや帳票のデザインを一から学びました。また、当時から上司との1on1で今後挑戦したいことを随時相談していました。意見を快く聞き入れてもらい、メイン業務とは別に、業務の改善施策やお客様にお届けする帳票のデザイン、新商品の立ち上げ、グループ全体の有志が集う女性のキャリアを推進する組織への参加など、多くの業務を経験しました。特に最後に挙げたものは、現在所属している「ダイバーシティ推進室」での活動にも繋がっています。

現在は、自社サイトやお客様が使うマイページなど、お客様向けのタッチポイントのサービス改善や保守を行っています。同時にRPAの活用をはじめとする社内向けの業務改善活動も進めています。

当社は社員規模が大きくないので、誰がどんなことをしたいかが分かりやすく、手を挙げた人にしっかり目を向けてくれるという特徴があります。キャリア・年次に関係なくあらゆる仕事に挑戦できる一方で、黙っていては活躍の場は巡ってこないので、自主性が必要とされる職場であるとも感じています。

―D&Iの領域や、「誰もが働きやすい組織」の実現にも力を入れられていると伺いました。梶さんの理想とする「誰もが働きやすい組織」とはどういう組織なのでしょうか

ハンディキャップがあることや子育て、介護をしているなど、本人には変えることのできない状況に対して、お互いに認め合った上で各々が自分のあるべき活躍ができる、という組織が理想です。

実現のために、地道な活動を継続的に行うことを大切にしています。例えば、社員を対象とした座談会では、子育てや介護、キャリアなど多様なテーマを設定しています。ダイバーシティ推進室のメンバーから議題を提案することもあれば、社員からの「こういうテーマで座談会をしてほしい」というリクエストに基づいて開催することもあります。

こうした試みは、まずお互いを知ることを目標に掲げています。異なる境遇や考え、価値観などを共有し、それぞれをありのままに認めていく文化の醸成に繋げています。

座談会後には「周りの社員がこんな事情を抱えているなんて知らなかった」「1回じゃ足りない」「忘れてしまうから同じテーマで繰り返しやってほしい」という声をよくもらいます。異なる年代、地域、環境に生まれた人が一緒に働く会社という組織において、まずお互いの考えを理解し、認め合うためにも、反復的に交流の場を設けることが重要だと考えています。

「挑戦」と「献身」を忘れずに

―自身のキャリアや担当業務において、今後実現させたいビジョンはありますか?

入社当時から上司に相談していたこともあり、希望通りのキャリアステップを歩ませてもらっています。ただ、事務職から企画職に異動したての頃はデジタル領域に疎く、さらには前任者が詳しかっただけに、プレッシャーを感じて迷ったり挫折したりすることもありました。また、当社は企画のPDCAが速いスピードで回っていく一方で、私は石橋を叩いて渡る慎重派。スピード感のギャップに苦しんだり空回りしたりすることもありました。

しかし、この苦労は私しか感じていないもの。これを乗り越えれば自分の強みになるかも、と気づいたことが、私の3つのビジョンに繋がっています。

―3つのビジョンとはどんなものですか

今後、生命保険業界ではさらにデジタル化が進んでいくと思います。そういった中でも、一人ひとりに“優しい”形で当社のサービスを提供したいと考えています。これが1つ目のビジョンです。私自身も当初はデジタル領域には詳しくなかったのですが、お客様にもデジタルに対する苦手意識を持つ方は多くいらっしゃいます。そういった方々にも使いやすく、企業理念である「Z.Q.(チューリッヒ・クオリティー)」を表現できているサービスを届けたいです。



2つ目は、デジタルだけではカバーしきれない部分のサービスにも力を入れていきたいです。デジタルの領域で解決できないことは、カスタマーケアセンターなどで人を介して解決していく点はこれからも変わりません。また、お客様にお届けする帳票など、紙媒体をお求めの方もいらっしゃると思います。デジタル・アナログにこだわらず、お客様のご要望に合わせたサービスを先回りで提供していきます。

そして、お客様だけではなく、社内にもデジタル化に不安を抱える人がいます。そういった仲間にとって身近な存在でありたいと考えています。これが3つ目のビジョンです。気軽に相談ができることはもちろん、お客様により良いサービスを提供するためのエンジンとなり、共に汗をかく存在として会社の一助となれるように邁進していきたいです。

―人生におけるビジョンはありますか

これから様々なライフステージを迎えることになりますが、どんな時でも、挑戦と献身を忘れないようにしたいです。

新卒で前職へ入社してからたくさんの選択を経て、挑戦し続けてきました。だからこそ、誰よりも「挑戦しなければ何も変わらないし始まらない」ことを理解しているつもりです。人生の波に乗っているときもそうでないときも、挑戦し続けることを意識したいです。

また、挑戦の傍らで、自分に関わる方がほんの少しより良い明日を過ごせるような、細やかな献身の心を忘れないようにしたいです。

業界を取り巻くデジタル化だけでなく、人生にも共通すると思いますが、時間が経つにつれ様々な変化があります。これらの変化にただ流されるのではなく、自分にとって最善の方法を意識し、吟味しながら人生を楽しんでいきたいと考えています。

―最後に、自分らしいキャリアを歩める会社や環境と出会うためにどんなことが大切か、読者にメッセージをお願いします

これまでの経験の中で、相互理解を深めるにはコミュニケ―ションを密に行うことに尽きるとひしひしと感じます。ただ、就職、転職活動のシーンでは、企業と長い時間をかけてコミュニケーションを取ることが難しいケースもあります。

限られたコミュニケーションの時間や、世代や性別が異なる相手との対話の中で、自分のやりたいことを実現できる環境と出会うためには、面接で信念に裏打ちされた言葉をしっかり面接官に伝えられるか、つまり自分の言葉に「一貫性」があるかが重要です。「私はこうして歩んできた。だからこの経験をこう活かしたい、こういうことがしたい」と伝えることができると、相手が受ける印象も違うのではないでしょうか。

とにかく、待っているだけではなにも変わりません。20代や第二新卒の場合、スキルに自信がない方も多いと思います。ただ、キャリアのアクセルを踏む、ハンドルを切ることは他の年代に比べてやりやすいはずです。そうした「今」を存分に活用し、恐れずに様々なことに挑戦してほしいと思います。
 


チューリッヒ生命保険株式会社

チューリッヒ・インシュアランス・グループの日本における生命保険事業の主要拠点として1996年に開設した日本支店の会社形態を日本法人へ変更し、2021年4月より営業。
主に働き盛りの世代からシニア世代の方々に、「革新的な保障性商品」と「高品質なサービス(Z.Q. チューリッヒ・クオリティー)」を乗合代理店、銀行窓販およびインターネットなど、「お客様にとって利便性の高い選択権の活かせるチャネル」を通じて提供している。

この記事を書いた人

20代の働き方研究所 研究員 T.I.

1995年5月生まれ。
新卒で食料品小売会社に入社。しかし小説家を目指して執筆活動を行っていた経験から、言葉でもっと人を惹きつける仕事がしたくなり一念発起。クリエイターとして就職情報会社に転職。以降、様々な業界の採用サイトやパンフレットの制作に携わる。20代の働き方研究所では記事執筆を担当。趣味はコーヒー豆の焙煎とラテアート。

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